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と端末の接続形態の概念を図1に示す。セルラー通信事業者とは、従来の移動通信サービスのように自ら加入者を管理し、通信範囲が広いマクロセルを自ら展開して運用する通信事業者を指す。セルラー通信事業者は、通信範囲の半径が最大10 km程度の従来のマクロセルに加えて、ミリ波等の新たな周波数帯も活用して、通信範囲の多くは半径100 m以下のマイクロセルを多数展開し、マクロセルと一体として運用する。一方で、マイクロセル通信事業者(必ずしも自ら加入者を管理せず、通信範囲を限定したマイクロセルを展開して運用する通信事業者)は、施設の管理者や通信サービスのプロバイダであり、セルラー通信事業者がカバーしきれない通信エリアを補完して移動通信サービスを提供する。セルラー通信事業者に加入している端末は、図1に示す端末A及び端末Bのように、加入している通信事業者が運用するマクロセル基地局あるいはマイクロセル基地局に接続するほか、マイクロセル通信事業者が運用するマイクロセル基地局(図1の緑のマイクロセル通信事業者)にも接続して通信する。この他に、マイクロセル通信事業者が自ら管理し、セルラー通信事業者に加入しない端末も存在し、端末Cのように該当するマイクロセル通信事業者が管理するマイクロセル基地局のみに接続して通信する。移動通信システムにおけるセル展開場所は、図2に示すように、パブリック空間とプライベート空間の2つの運用区域に区分して検討する[10]。パブリック空間とは、セルラー通信事業者が通信サービスを展開している空間である。それに対してプライベート空間とは、特定の個人や組織が管理してセルが展開されている空間であり、マイクロセル通信事業者はプライベート空間においてセルを展開する。プライベート空間では、その施設の所有者や管理者が必要な無線通信の特徴や性能の要求を最も把握していると考えられるため、所有者の意思に基づき、マイクロセルが展開される。管理空間の例としては、会社、駅、工場、地下街、大学、商業施設、自宅などが考えられる。パブリック空間は全ての空間を対象としていることから、パブリック空間とプライベート空間は一般的には重複する。プライベート空間のマイクロセルは、必要最小限のインターフェイスによりセルラー通信事業者の管理装置に接続する。そして、プライベート空間において運用されているマイクロセル基地局の位置、性能(通信速度、遅延、等)、周波数、帯域幅、などの情報をセルラー通信事業者に提供する。この情報は、セルラー通信事業者のマクロセルのうち制御チャネルを利用して、その通信エリア内にブロードキャストされる。端末はこの情報を受信することにより、マイクロセル通信事業者が展開するセルの情報を把握する。そして端末は、使用するアプリケーションの種類や状態、ネットワーク機器の負荷や無線通信品質などの情報に基づき、セルラー通信事業者とマイクロセル通信事業者をまたいで最適なセルを選択し、接続して通信を開始する。図2 プライベート空間におけるマイクロセル通信事業者の導入セルラー通信事業者B事業者Bの加入者が接続可能事業者Aの加入者が接続可能マイクロセル通信事業者インターネット連携したセルラー通信事業者の加入者が接続可能パブリック空間(従来のセルラー通信が展開されている場所)セルラー通信事業者が敷設プライベート空間(施設等の所有者や管理者の意思で設置が決定された場所)施設管理者/サービス提供者が敷設管理装置(セルラー通信事業者A)管理装置(セルラー通信事業者B)管理空間に展開されたマイクロセルの運用情報(位置や周波数など)を提供するための最低限のインタフェース会社、駅、工場、地下街、大学、商業施設、自宅、などマクロセルの制御プレーンを利用してマイクロセルの運用情報(位置、周波数、性能、等)を端末に報知セルラー通信事業者A52-1 柔軟なアーキテクチャと周波数共用を実現する次世代移動通信システムに向けた研究開発
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