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耐災害ICT技術を利用した「大規模災害発生時の応急ネットワーク支援」実験を行った。同訓練は、南海トラフ地震を想定し、南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画(2015年3月策定)等に基づく大規模地震時医療活動に関する総合的な実働訓練であり、2016年度は中部ブロックにおいて災害派遣医療チーム(DMAT)の参集、活動、広域医療搬送等の図上・実働訓練を実施したものである。NICTは、大規模災害時にDMATが運用する広域災害救急医療情報システム(EMIS)や防災科学研究所の政府間連携防災情報共有システムの運用、また、災害現場と災害対策本部との連絡のため、静岡県庁(静岡県災害医療本部)にはWINDS大型車載局とメッシュネットワークとICTユニットを、湖西市前線拠点型SCU(野外病院)にはWINDS用小型車載局とICTユニット(MDRU: NTT未来ねっと研究所)の組合せで応急ネットワークを設置し、インターネットと電話サービスを提供した(図13)。訓練終了後、DMATの関係者から、大規模災害時に携帯電話網やインターネット網は地震動による物理被害に加えて輻輳が必ず発生するので、衛星系のデータ通信を確保するという観点からNICTの耐災害ICT技術の有効性は非常に高いと評価を得た。今後も、このようなDMATや地方自治体との連携を通じ、NICTの研究開発成果を周知することで災害に強い耐災害ICT技術の有効性を発信しながら、運用面も含めた更なる性能の向上を図っていく必要がある。4.32016年度愛媛県総合防災訓練における公開実験2016年8月28日(日)、愛媛県西予市宇和運動公園にて実施された「2016年度愛媛県総合防災訓練」に図13 大規模地震時医療活動訓練における公開実験における応急ネットワークを設置状況 86   情報通信研究機構研究報告 Vol. 63 No. 2 (2017)3 超高速衛星通信技術

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