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SIPの枠組みの下でNTT未来ねっと研究所と共同で実施した。応急ネットワーク構築の内容としては、ネットワークの復旧までの臨時回線の構築、IP-PBXによる電話回線の構築(NTT未来ねっと研究所)、メッシュネットワークによるインターネット接続サービスの提供とバックホールとしてのWINDS運用であった。本震があった4月16日の19時ごろ派遣が決まり、17日12時までに派遣要員が集合。資機材の準備をした後、仙台の耐災害ICT研究センターを出発したのは、その日の13時ごろである。当初の派遣予定地は、市役所の建物が地震動により被害を受けた宇部市であったが、移動中に派遣先が高森町役場に変更されている。WINDS用小型車載局での移動のため、派遣先までは、東北道、磐越道、北陸道、山陰道、名神高速、山陽道、九州道を経由、阿蘇山を北回りし、高森町役場に4月18日20時ごろ到着した。なお、総移動距離は約1,600 kmであり、30時間を要した。5.2WINDSを用いた応急ネットワーク構築とネットワークの使用状況高森町の災害対策本部の方と調整を行い、WINDSを用いた応急ネットワーク構築は4月19日に行うことにした。WINDS回線は再生交換中継方式の51 Mbpsモードで4月19日9時ごろ構築した。次に、行政用としてメッシュネットワークのAPを1つ設け、13時30分ごろ災害対策本部(総務課)にネットワークを提供した。このネットワークは個人情報保護等の観点から、パスワードをかけ、住民には公開していないネットワークとした。また、同じ構成で14時30分ごろメッシュネットワークのAPを役場の入り口付近に設置した。このAPは住民用とし、誰でも使えるようにパスワードはかけていない。図15、16にWINDSを用いた応急ネットワーク構成図と災害対策本部(総務課)の中に設置してメッシュネットワークのAPを示す。今後の検討のため、行政用APと住民用APにおいてどの程度ネットワークが使われているかを測定した。行政用のAPにおいては、設置して2〜3時間後に最図15 WINDSを用いた応急ネットワークの構成図16 高森町災害対策本部に設置した応急ネットワークAP88   情報通信研究機構研究報告 Vol. 63 No. 2 (2017)3 超高速衛星通信技術

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