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大スループット18Mbpsを記録している。これは、応急ネットワークが設置され、今までできなかった情報収集を一気に進めたこと、また情報収集が終わるとしばらくはインターネットを使う必要がなくなったと推測できる。図17に行政用APのスループットを、図18に災害対策本部の様子を示す。住民用APにおいては、夜7時ごろ最大スループット18 Mbpsを記録している。これは、昼間自宅等に帰っていた避難者が避難所に戻り、携帯電話等を充電しながらインターネットでSNSを使ったり、情報収集をしたりしたことにその理由があると考えられる。また、住民用ネットワークの使われ方の特徴のひとつに、朝、昼、夕食の時間帯にスループットが上がる傾向がある。図19に住民用APのスループットを、図20に住民用ネットワークの利用状況を示す。まとめ災害対応に有効な衛星通信を目指し、NICTが進めている研究開発及び主な実証実験内容について紹介した。また、2016年熊本地震時には、熊本県高森町に派遣された際の活用内容についても簡単に紹介した。2011年に発生した東日本大震災や2016年熊本地震で見られるように、大規模災害時には必ずと言ってよいほど通信障害が発生している。これらを踏まえ、今後はより早期に応急ネットワークが構築できる衛星通信ネットワーク研究開発を進めたい。【参考文献【1消防庁消防研究センター:平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の被害及び消防活動に関する調査報告書(第1報),消防研究技術資料,第82号,20112Takashi Takahashi etc. all: Disaster Satellite Communication Experiments using WINDS and Wireless Mesh Network, GWS 2013, 2013.3“カーナビ情報で被災状況把握=不通区間を短時間で発見―国土交通省,” https://news.yahoo.co.jp/pickup/6086738, 2017年6月30日閲覧4総務省消防庁消防大学校消防研究センター, “2007年能登半島地震、2007年新潟県中越沖地震時の消防活動に関する調査報告書,” 消防研究技術資料第80号, 2008年3月5八木浩一,“スマートフォンの加速度センサを用いた路面段差検出手法と東北地方太平洋沖地震における適用,” 第31回交通工学研究発表会論文集,pp.249-252,Aug. 20116T.Clausen, et al., “The Optimized Link State Routing Protocol Version 2,” IETF RFC7181, April 2014.7淺谷編著,通信ネットワークの品質設計,電子情報通信学会発行,19938消防庁、熊本県熊本地方を震源とする地震(第48報)、2017年6月30日閲覧、http://www.fdma.go.jp/bn/熊本県熊本地方を震源とする地震(第48報)(公表資料).pdf 9総務省非常災害対策本部、平成28年(2016年)熊本県熊本地方を震源とする地震に係る被害状況等について6図17 行政用APのスループット図18 災害対策本部の様子図19 住民用APのスループット図20 住民用ネットワーク利用状況893-3 災害対応に有効な衛星通信の開発と実証実験

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