HTML5 Webook
99/168

衛星通信実験の結果[8]–[11]3.1622 Mbit/s伝送実験(1)関東ビーム622 Mbit/s 1波伝送図8には、622 Mbit/s 1波連続伝送におけるビット誤り率(BER)特性を示す。1波連続伝送とは、モデムTDMA全フレームを使用すると同時に、衛星のサテライトスイッチが動作しないモード(通常のベンドパイプ)での伝送である。Eb/Noが10 dB以上でBERが10-10以下を達成した。地上試験(IF loop back)の測定結果に対して、10-10での測定結果は、1~3 dB程度の劣化を示している。なお、理想状態のガウス雑音チャネルにおける本モデムのBER特性のシミュレーション値は、Eb/N0が4 dBで10-9である[3]。衛星回線での劣化は、受信レベルの変動、中継器の周波数特性、非線形特性が考えられる。LETでの受信信号は、1 dBp-p程度変動し、622 Mbit/s信号伝送(412 Msynbol/s)は、550 MHz帯域幅内で2 dBp-p程度の周波数特性偏差を持つ。MPAは、原則は、線形領域で動作する。最大動作時で4 dBの出力バックオフを取っているため、1波TDMA信号への非線形特性の影響は大きくないと推定される。したがって、BER特性の劣化の主要な原因は、地球局を含めた衛星回線の周波数特性偏差と受信信号レベルの不安定であると推定している。受信レベル変動の原因としては、アップリンク28 GHz、ダウンリンク18 GHz周波数帯の通信信号に対して、測定時間の短期間においても雲の変化等、天候の変化が1 dB程度の受信レベルの変動を及ぼすと推定される。(2)関東ビーム622 Mbit/sTDMA通信実験図1の構成で622 Mbit/sTDMA通信実験を実施した。MBA関東ビームエリアの鹿嶋でLET、SDR-VSAT1間で実施した。JAXA基準局からリファレンスバースト(JRB)が送信され、LETでJRB受信機を経て受信される。LETのモデムは、マスターモデムとして動作し、衛星位置、スロット割当、同期タイミング情報をJRB受信機から得た後、高速バーストモデムよりWRBを送出する。JRB、WRBともに衛星位置、スロット割当、同期タイミング情報を含んでいる。SDR-VSAT1は、WINDSからのWRBを受信する。そして、2つのモデムは、TDMA通信を確立するために、WRBによって運ばれる衛星位置、スロット割当、同期タイミング情報に基づきバースト信号を送信する。バースト信号の送信タイミングは、衛星位置と地球局位置より、遅延時間を計算することにより、構成される。PC1とPC2はモデム1とモデム2に、各々、LANインターフェースで接続する。表5は、ネットワークスループットとパケットロス率を測定するためのフリーソフトiperfを使用した31.0E-101.0E-091.0E-081.0E-071.0E-061.0E-051.0E-041.0E-031.0E-021.0E-011.0E+00456789101112BEREb/No (dB)LET UpperLET LowerSDR-VSAT1 UpperSDR-VSAT1 LowerIF Loopback UpperIF Loopback Lower>10-10表4 622/1244 Mbit/s 高速バーストモデムの諸元ユーザデータレート622Mbit/s1244Mbit/sIF周波数2726.4, 3273.6MHz3000.0MHz変調方式QPSKアクセス方式SS-TDMA誤り訂正前レート724.2 Mbit/s1448.4 Mbit/s伝送レート824 Mbit/s1648 Mbit/s誤り訂正ターボ積符号 (128, 120)24 ビット軟判定ロールオフ率ルートレイズドコサインロールオフ率 = 0.35データ I/Oギガビットイーサネットルータ、TCPアクセラレータ接続図7 622/1244 Mbit/s 高速バーストモデムの外観図8 622 Mbit/s 1波連続伝送の誤り率特性953-4 622/1244 Mbit/sデュアルレート高速バーストモデムTDMA衛星通信実験

元のページ  ../index.html#99

このブックを見る