HTML5 Webook
100/116
とその転送量を決定しCNIにて通知し、(3)RGIを用いて上流にキャッシュされている損失データまたは符号化データを要求する。任意のフローに関してパスの切替えや転送中止を行う場合にもCNIを用いて上流ルーターに通知を行う。リンク許容遅延推定を各ルーターが行えるようにするため、受信者はSMIにアプリケーションに依存する許容遅延をオプショナルヘッダに記述する。ルーターは定期的にCNIを上流及び下流ルーターに転送し、その応答パケットを受信することでアップリンク/ダウンリンクの往復伝送遅延の最大値と最小値を把握する。SMI及びデータを転送する際、上流/下流の推定片道伝送遅延の最大値/2と最小値/2をSMI及びデータのオプショナルヘッダに加算する。ルーターは、SMIとデータのオプショナルヘッダを参照することで、データを下流のノードに転送する際のリンクの最大及び最小許容遅延の推測を行う。データプレーンでは、PITに基づきビデオデータの中継が行われる。パケット欠損時にデータ修復を行うための冗長符号化データは、符号化グループの総データ転送数がソースブロックサイズ(k)未満の場合にのみ転送される。RGIを受信した際には、ビデオデータがキャッシュされている場合はそのデータを送信し、キャッシュに存在しない場合は同じ符号化グループの異なるk個以上のデータがキャッシュされているか否かを調べ、存在する場合にはそれらから新しく生成した符号化データを送信する。存在しない場合は、上流へInterest (RGI)を送信する。ところで、各ルーターが推定するリンク許容遅延は、各受信者とその転送経路に依存するため一意ではない。したがって、最大/最小リンク許容遅延及びパケット損失率を考慮し、データ転送成功確率の平均値を利用して冗長符号化パケットの転送量を決定する。具体的には、各ルーターはデータ転送成功率の閾値を満たす再送処理を考慮したうえで、最小冗長符号化パケットの転送量を決定する。各ルーターは、各リンクの帯域幅と帯域割当てポリシーに応じて、受信すべき通信経路とビデオ品質を決定する。本手法では、最も空き容量のある経路を優先的に利用し、コンテンツフローごとに帯域が公平に共有されるように割り当てる。コンテンツフローの重要度が高いデータ(例えば、SVCのベースレイヤ)を優先的に要求し、もし任意のフローが利用している経路の利用可能帯域を超える場合は、貪欲法(greedy algorithm)にて最も空き容量のある経路を利用し、可能な限り高いレイヤのデータを受信してQoEの向上を図る。以下、SMIと許容遅延を考慮したストリームデータ転送のシミュレーション結果について述べる。シミュレーションでは、図3に示すような米国学術機関であるAbileneのネットワークトポロジを用い、既存研究のひとつであるマルチパス輻輳制御技術提案 [6]と提案手法の比較を行い、QoE モデル [7]の評価を行った。各リンクの帯域幅/キュー長/伝送遅延は、図2 提案手法のシステムアーキテクチャData PlaneCacheCacheCacheCacheVideo SourceSymbolic Interest (SMI) for real-time video dataRegular Interest (RGI) for retransmissionVideo dataRedundant Coded dataCacheCacheConsumers・・・Control Interest (CNI) for specifying redundancy level orstopping data forwardingControl PlaneRetransmissionRetransmissionNetworkCoding・・・New Coded Data96 情報通信研究機構研究報告 Vol. 64 No. 2 (2018)6 ネットワークの効率的な資源配分を目指す研究開発
元のページ
../index.html#100