HTML5 Webook
110/116

と呼ばれるエッジ実行型のウェブアプリ実行エンジン等を開発しており[2]、エッジコンピューティングの商用化を進めている。計算リソースの配置場所としては、家庭内ルータや、エッジルータ、ISPルータなど複数の候補があげられている。Open Edge Computing Initiative [3]では、 米カーネギーメロン大学を中心にElijahと呼ばれるCloudlet(エッジコンピューティングのためのボックス型サーバ)の開発を行い、Living Edge Labと呼ばれるオープンテストベッドを構築して実験を進めている。3.2IoTエッジコンピューティングの技術的課題 2で述べたとおり、エッジコンピューティングの商用化に向けた動きは活発化しているが、IoT向けのエッジコンピューティングの本格的な普及には様々な技術的課題がある。以下に技術課題の例をあげる。1.設備コストの課題まず、エッジに配備するリソース(エッジリソース:計算サーバ、ストレージ等)の設置・運用コストが課題となる。小さい伝搬遅延を保ってひとつのエッジリソースが受け持つことができる地理的範囲は限られる。したがって、あるサービスプロバイダが広いサービスエリアをカバーするには膨大数のエッジリソースの設置・運用を行う必要があり、金銭的・管理上のコストは大きくなる。このような設備では、複数のサービスプロバイダが共通の物理的インフラストラクチャを共有し、仮想化されたエッジリソースとして利用可能な形態が理想的である。IoTにおけるエッジリソースは、通信事業者等が提供するネットワーク設備内のみならず、WiFiの基地局のように、店舗等に設置されるアプライアンスが付加価値として内蔵する展開も想定されるため、このようなエッジリソース部分まで含めた仮想化が必要となる。2.分散化に伴う課題エッジリソースは、必ずしもネットワークやデータセンターに精通した運用者が運用を行うわけではない。したがって、24時間の連続稼働を保証することはできず、停電や電源操作等により任意のタイミングでリソースが利用できない状態となる可能性を考慮する必要がある。分散エッジリソースが自律的に運用される状況の下、情報サービスとして可用性を高く保った運用をいかに行うかは課題である。3.動的な状況変動の課題IoTでは、データソースが自動車やスマートフォン等の移動体である場合も考えられ、エッジリソースあたりの処理すべきデータソース数や処理対象数は時間に応じて変化する。また、例えば、映像に映った人を分析するアプリケーションでは、カメラに映る人の増減に応じて、データ量や処理量が大幅に変化する。エッエッジコンピューティングプラットフォーム層IoTサービスの記述・実⾏エッジ計算資源クラウド計算資源デバイスaccess NWcore cloud NW edge cloud NW edge cloud NW access NWaccess NW エッジコンピューティングインフラ層トポロジ情報提示トポロジ情報要求資源配置・要求資源配置・提供ICT ResourceICT ResourceICT ResourceNetworkResourceNetwork ResourceNetworkResource1SDSS2SS1’物理ネットワーク・物理計算機制御ドライバ実⾏位置管理・ルーティングIoTサービス定義・解釈仮想マシン仮想リージョンデバイスデータソース処理モジュールあて先IoTサービス処理を仮想インフラ上に配置伝送遅延を保証する仮想インフラを実現実⾏資源管理実⾏状態モニタリング資源要求・開放仮想マシン管理フロー管理仮想リージョン管理デバイス管理ユーザ(IoTサービス事業者)図3 IoTエッジコンピューティングのアーキテクチャ106   情報通信研究機構研究報告 Vol. 64 No. 2 (2018)6 ネットワークの効率的な資源配分を目指す研究開発

元のページ  ../index.html#110

このブックを見る