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本プロジェクト中に、マルチモード・マルチコアファイバを用いた、ファイバ1本あたり10ペタビット毎秒を超える伝送記録が達成された[7]。【空間多重フォトニックノード基盤技術の研究開発】(2016~2020年度:課題188)これまでの委託研究は、ファイバ1本あたりの伝送能力を高めることに注力していたが、それらの潜在能力が概ね見えてきた段階で、次に光ファイバネットワークを構成するための基盤技術の研究が求められる。本プロジェクトでは、「ルーティングノードの大容量化・高機能化・省電力化を実現し、既存の光通信インフラから2桁以上高い10 ペタビット毎秒級のノードスループットの向上を実現する将来の大容量空間多重光ルーティングノードの実現に向け、空間多重フォトニックノードアーキテクチャ・システム制御技術、空間多重ノード光増幅・方路制御技術、空間多重配線技術に関する要素技術の研究開発を行う」との目標が掲げられた。本稿時点で、まだプロジェクト期間の途上であるが、これまでの際だった成果としては、課題170と連携で行った、標準外径マルチコアファイバでの相互接続及びフルSDM伝送による100テラビット毎秒の達成が挙げられる[8]。標準外径とは、SSMFと同じクラッド径125 µmのことであり、既存の製造設備の一部を流用してテープ芯線やケーブル化が可能であり、最も実用化・標準化に近い位置づけのマルチコアファイバである。統一スペックの下、複数のファイバメーカーによって作製されたマルチコアファイバを入れ違いに接続し、それらに対応したマルチコア増幅器及びマルチコア接続技術を組み合わせた、言わば全てがSDM対応のコンポーネントで構成された伝送システムの実証に成功した。【マルチコアファイバの実用化加速に向けた研究開発】(2018~2022年度:課題203)前述の標準外径という選択肢は、主として課題170における標準化戦略の検討から生まれたものであり、早期実用化に最も近いと考えられている。これを受けて、国際的競争が激化する中で、我が国がマルチコアファイバの実用化・商用化への先鞭をつけるべく開始されるのが本プロジェクトである。本稿時点では公募の段階であるが、「MCFの商用導入を容易にするためには、クラッド直径として既存商用ファイバの標準外図6 NICT委託研究「革新的光ファイバの実用化に向けた研究開発」(課題170)概要図7NICT委託研究「空間多重フォトニックノード基盤技術の研究開発」(課題188)概要空間多重フォトニックノード(スループット~10 Pbps級)空間多重光ファイバ空間多重光ファイバ空間多重光ファイバ空間多重光ファイバ空間多重光ファイバ空間多重光ファイバ課題ア・マルチコアファイバの設計指針、作成方法の確立・性能と製造性を両立させるコア間干渉低減方法の確立・実用化・標準化に向けた評価指標の確立、行動計画の立案課題イ・マルチコアマルチモードファイバの設計手法の提案、作成方法の検証・性能と製造性を両立させるコア間干渉低減方法の提案・入出力方法・結合方法・伝送能力の検討による実用性の検証(課題アと協調)低損失化低非線形化波長分散制御偏波モード分散低減コア間干渉制御クラッド外径最適化ファイバ均一化コストダウン既存のファイバの技術的な伝送限界が迫る中、容量危機の未然回避が必要他明らかになってきた技術課題150「革新的光通信インフラの研究開発」マルチコアファイバ・マルチモードファイバの増幅技術、接続技術、伝送品質評価•世界初、12コアファイバによる毎秒1Pbitの壁を突破•7コア一括増幅器の開発146「革新的光ファイバ技術の研究開発」マルチコアファイバの基本特性、設計理論、測定評価方法•6,7,10,12コアファイバの試作・特性評価機構の自主研究~超多値伝送システムの先導的研究~・世界初、7コアファイバによる毎秒100Tbitの壁を突破・19コアファイバ伝送実証においてコア数拡張性を実証最優先課題を抽出12   情報通信研究機構研究報告 Vol. 64 No. 2 (2018)3 コアネットワークの大容量化を目指す研究開発

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