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67チャネルは十分な信号対雑音比が確保できなかったため、64QAM信号ではなく16QAM信号とした。生成した波長多重信号は、光スプリッタにより分岐して19コアファイバの各コアへ入力する信号光とした。各コア用の信号光は更に光スプリッタで分岐した後、適切な光遅延線を挿入して信号間の相関を無くしてモード多重器に入力した。モード多重器では、6つのLP01モード(基底モード)の信号をLP01、LP11a、LP11b、LP02、LP21a、LP21bの6つのモードに変換し多重した。伝送実験には、長さが11.3 kmの19コア6モードファイバを用いた。図5に断面写真及び屈折率プロファイルを示す。コア直径は18.4 µm、コア間隔は約51 µm、クラッド直径は267 µmである。19コア6モードファイバの入出力端は、Fan-inデバイス及びFan-outデバイスを介して19本の6モードファイバと接続した。伝送後の空間多重信号は、空間多重過程と同様の方法でFan-outデバイス及び6モード分離器にて個々のコアとモードに空間分離した。モード分離器により分離されたLP01、LP11a、LP11b、LP21a、LP21b、LP02に相当する6つの光信号は、6台の光バンドパスフィルタによりそれぞれ1波長の光信号に分離した後、6台のデジタルコヒーレント受信器によりヘテロダイン受信した。取得した信号は、モード間遅延差やモード間クロストークを補償するため、オフラインにてMIMO信号処理を施した後、符号誤り率を測定し、最終的には信号品質を表すQ値に換算した。このような測定を、波長、コアを変えながら行い、6モード×739波長×19コア=84,246チャネルの信号特性を評価した。このような大量の信号特性評価を効率的に実施するため、光源波長、波長選択用光バンドパスフィルタの中心波長の設定のほか、データ取得やデジタル信号処理も自動化し、可能な限り測定の自動化を図った。図6に、中心コアにおける各波長・各モードのQ値特性及び伝送後の光スペクトラムを示す。ほかの18コアについても同様の測定を行った。今回の伝送実験では、冗長度の異なる3種類の誤り訂正符号(冗長度12.75%[13]、20%[14]、25.5%[15])を適用し、信号の伝送特性に応じて最適な誤り訂正符号を選択することを想定した。その結果、全84,246チャネルについて、図中に点線で示した誤り訂正後に10-15以下の図6 中心コアにおける各波長・各モードの伝送特性及び伝送後光スペクトル-1.0-0.6-0.20.20.61.005101520Radius [µm]Relative Index Difference ∆ [%]12345678910111213141516171819マーカー267 µm径(μm)比屈折率差(%)図5 19コア6モードファイバの断面と屈折率分布18 情報通信研究機構研究報告 Vol. 64 No. 2 (2018)3 コアネットワークの大容量化を目指す研究開発
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