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6LPモードのコアを用いることで約100倍のRCMFが得られることが確認できる[14]。既存のSMFでは相互接続性を担保するため、主要な伝送パラメータの特性範囲とその評価技術が標準化されている。図7(a)に代表的な伝送パラメータを示す。既存SMFでは、損失、カットオフ波長、モードフィールド径、波長分散や偏波モード分散などの詳細評価が不可欠となる。FMFやFM-MCFでは、これらの伝送パラメータに加え、高次モードを含むモード間及びコア間のクロストークやDMDを評価する必要が生じる。本検討では、図7(a)に示すように、FMF及びFM-MCFにおける代表的な伝送パラメータの評価技術について網羅的に検討を行い、その実現性を確認した。ここでFMFやFM-MCFではモード数・コア数の分だけ評価が必要となるため、複数のコア・モードに対し一括で簡易に評価できることが望ましい。本検討では、図7(b)に示すFM-MCFのカットオフ波長の一括評価技術についても検討を行った。大口径のマルチモードファイバを励振用光ファイバとして用い、FM-MCFの全コアに同時に測定光を入射することで、FM-MCFのカットオフ波長を1度の評価で取得することができる[15]。このようにFMFやFM-MCFでは、高次モードを考慮した定義や測定条件の明確化に加え、評価手順の最適化も考慮することが重要となる。また高次モードの偏波モード分散評価技術についても検討がなされているが[16]、高次モードのファイバ中の偏波状態については不明確な点も多い。図8(a)に第1高次(LP11)モードのファイバ中の伝搬の様子を示す。一般に、第1高次モード(LP11モード)は縦若しくは横方向に2つの山を有し、さらに偏光方向も直交する4種類の電界分布として扱われるが、LP11モードは擬縮退モードであって厳密には固有モード(TE01, TM01, HE21even,HE21odd モード)の線形結合で表されるため[17]、実際の光ファイバの伝搬過程では固有モード間の干渉によってドーナツ型の電界分布を経て周期的に変化していると考えられる。図8(b)の上図は、基本モードとLP11モードまでが伝搬可能なコアを1つ有するFMFを用い、LP11-xevenモードを入射させた際に、光ファイバ出射端における電界分布を、波長を変えながら観測した例を示す。先に述べたよう図6 FM-MCFの設計空間多重密度(RCMF)クラッド外径[m]4LP2LP6LP7 core12 core19 core37 core27 core(57)(114)(120)(b)クラッド径とRCMFの関係トレンチ(低屈折率層)(a)屈折率分布GI型コア図7 FMF/FM-MCFの評価技術代表的な伝送パラメータSMFFMFFM-MCFクロストーク〇〇モード間群遅延差○○*損失〇〇○カットオフ波長〇〇〇*モードフィールド径〇〇○波長分散○〇〇偏波モード分散〇○△光源パワーメータ励振用ファイバ(大口径マルチモードファイバ)FM-MCF受光系(a)評価項目(b)FM-MCFのカットオフ波長一括評価系○:確立済、△:検討中*一括評価技術を提案253-2-2 革新的光ファイバの実用化に向けた研究開発 ~マルチコアファイバ技術と標準化指標の確立~
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