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に、縦山・ドーナツ・横山の状態が波長に伴って変化している様子がうかがえる。一方、図8(b)の下図は第4高次(LP02)モードまでが伝搬可能なコアを複数有するFM-MCFにおけるLP11モード伝搬特性の観測例を示している。この観測例では、出射端に偏光子を挿入して偏光子を回転させながら出射パターンを観測しており、波長を変えても縦山の出射パターンに変化が見られず、さらに出射パターンの偏光状態もy方向(偏光子の0度方向がy方向)に偏光しているLP11-yevenモードになっており、そのモードが波長に無依存である様子がうかがえる。これは、固有モード間の伝搬定数差によって周期的に遷移しながら伝搬すると考えていたLP11モードが、特定の方向に固有軸を持ち、その方向の固有モードとして伝搬していると考えられる[18]。これらの伝搬状態は、本検討を通じて初めて観測された結果であるが、特定の方向のLP11モードが固有モードとして伝搬する要因については十分に解明されておらず[19]、今後、FM-MCFにおける偏波モード分散特性の評価技術を確立していくうえでも重要な足掛かりになると期待される。以上に述べたように、本検討により高次モードに対する解析技術を確立しFM-MCFの最適な設計と空間多重密度を明らかにした。また、コア及びモードの一括評価も考慮した、高次モード特性の評価技術を網羅的に検討するとともに、FM-MCF中における伝搬状態の明確化に向けた礎を築いた。3.2超高密度FM-MCF本検討では3.1で述べた、1心で100以上の空間パスを有する高密度FM-MCFの実現性について検討した。図9はFM-MCFの報告例を示す。高空間密度のFM-MCFは国内外で多くの報告例があり、2015年には初めて100以上の空間パスを有するFM-MCFが報告された[5][6]。しかしながら、これらのFM-MCFのRCMFは30程度にとどまっていた。ここで先に述べたとおり、実環境における機械的な信頼性を考慮するとクラッド径は250 µm以下であることが望ましい。本検討ではクラッド径上限を250 µmとし、図6で示した最適化設計を踏まえFM-MCFの試作を行った。試作したFM-MCFは4LPモード×19コア(空間パス114)であり、約60のRCMFを実証した[7]。さらに、図8 厳密固有モード(a) 第1高次(LP11)モードの伝搬状態の一例中心に1コアのFMFFM-MCF(b) 第1高次(LP11)モードの電界分布の変化上:単一コアFMFの評価例、下:FM-MCFの評価例波長(nm)15401544154515461547154815491550出射端偏光角(度)04590135波長(nm)15401544154515461547154815491550図9 高密度FM-MCFの報告例020406080100120050100150相対コア多重指数(RCMF)空間パス数●2LPモード■4LPモード☆6LPモード[5][6][7][18]26   情報通信研究機構研究報告 Vol. 64 No. 2 (2018)3 コアネットワークの大容量化を目指す研究開発

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