HTML5 Webook
42/116
アクセスネットワークにおける光・電子融合プラットフォームの重要性IoTでは身の回りの多くの情報通信端末やデバイスが相互に通信、融合することで高度で快適な生活環境が実現できると期待されている。情報通信端末・デバイスの増加、大容量化、高度化は更に急速に進展し、アクセス網では図1に示すような多様なネットワーク構成を生み出すことが可能となる。FTTxに代表されるような家庭や職場での大容量通信はもちろん、データセンタ内のハイエンドネットワーク、IoT基盤を支える環境情報収集のためのセンサネットワークなど、多岐にわたるが、特にスマートフォンや小型情報通信端末の発展に伴い、有線と無線をシームレスに接続する大容量通信の需要が高まりつつある。次世代の無線通信の大容量化を実現する技術として5GやBeyond 5Gが注目されている。特に、2020年に端を発すると期待される5G時代には現在の10~100倍程度である20 Gbps級の大容量情報通信が検討されている。さらに、その先のBeyond 5Gでは100Gbps超級の情報通信の実現が期待されている。このような無線の大容量化を支えるためには、図2に示すような、アクセスネットワークでの光・無線融合がキー技術となる。従来使用されているマイクロ波等の電波は、少ないアンテナ数で広域をカバーすることが可能であり、これにより音声通話を中心とするネットワークが構成されてきた。一方、未来では情報コンテンツの主流は音声から写真や動画、さらには拡張現実(Augmented Reality: AR)や複合現実(Mixed Reality: MR)のためのARやMR、3D、4D コンテンツなど大容量化が急速に進展すると考えられ、従来の周波数帯域を使った無線通信技術ではカバーできなくなると懸念されている(図2)。そのため、周波数帯域は従来のマイクロ波からより高い周波数(数十~数百GHz)、さらにはTHz帯域まで、利用が拡張されると考えられる。これはキャリア周波数の増加により、利用できる周波数帯域の大幅増加が期待でき、10Gbpsや100Gbpsなどの大容量無線通信が達成できるためである。実際、5Gに関しては3GPP等の標準化の中で、20~80 GHz帯域の各国での利用が検討されている。しかし、一般にキャリア周波数の高周波化に伴い、大気減衰をはじめとする様々な電波の減衰の影響を受けることが知られており、可能な限り高周波無線のエリアを小さくするスモールセル化が検討されている。例えば、数百m程度のカバーエリアを有するマイクロセルからピコセル、さらには数m~10 m程度のフェムトセルへとセルの小型化が議論されている。このことより、図2に示すように、より身近なところまで光ネットワークで大容量の情報を伝送し、そこから受信端末2図1 アクセスネットワークにおける多様な情報通信ネットワーク利用光ノード(メトロ/アクセス間)有無線融合モバイルアクセス網・ビル内NWメトロ網コア網データセンタNWセンサーNWアクセス網Dedicated moderate range communication(DMRC)IoT図2 情報通信における光電子融合プラットフォームの将来像光ネットワーク光ネットワーク今までは未来は‣高い周波数(数10~数100GHz)を利活用‣アンテナ数を増やし、できるだけ早く無線信号を光網へ収容光と高周波を融合するデバイス・システム基盤技術が重要38 情報通信研究機構研究報告 Vol. 64 No. 2 (2018)4 アクセスネットワークの大容量化を目指す研究開発
元のページ
../index.html#42