HTML5 Webook
47/116
可変QDレーザを初めて実証した[13]。このヘテロジニアス波長可変QDレーザのサイズは約1×3×0.5 mm程度であり、特に従来の1 µm帯の波長可変レーザでは、外部フィルタ・回折格子・ミラー等により装置構成が大型化する傾向があったため、このように非常にコンパクトな光源で実現できることによるメリットは大きい。Siフォトニクスチップは波長可変フィルタの機能を持ち、2つのリング共振器とスポットサイズ変換器を集積している。このリング共振器において、表面に装荷されたマイクロヒータに電力を印加することによりSi光導波路の屈折率をTO(Thermal Optics)効果により変調させることである任意の波長を選択し、その光をQD利得チップにフィードバックさせることにより単一モード発振と波長可変特性を得られるようにしている。閾値電流は180 mA程度であり、また波長可変特性としては、1,080 nm前後、1,200 ~1,250 nmにおけるT+O bandでそれぞれヒータ電力を制御することにより任意の波長でレーザ発振させることが可能であることを示した。小型高密度集積光電子融合デバイス技術次に、ヘテロジニアス集積技術を用いた小型高密度集積・光電子融合デバイス技術について述べる。ここでは光電子融合デバイスの一例として、2波長発振レーザによる差周波可変ミリ波・テラヘルツ波生成デバイスを示す。前節までに述べたように、光ファイバ無線(RoF : Radio on Fiber)技術を利用し、光・無線リンク間において信号波形をシームレスに転送させ高速・大容量に通信する際、デバイス技術の観点から重要な要素技術としては光2波長生成技術と超高速なフォトディテクタ(PD:Photo detector)であると考えられる。この信号転送技術のポイントは、例えば~100 GHz程度のミリ波の周波数で離調された2つの波長の光信号を生成し、その信号を光ファイバ中に伝送させた後、超高速動作が可能なPD(例えばUTC-PD: Uni-Traveling Carrier PD [14])で受信し、包絡線検波を行い光電気変換を行うとその離調した周波数の電波を放射させることが可能ということである。一般的な2波長光信号の生成方法は、外部から単一モードのレーザ光をLN(LiNbO3)変調器に入射し、変調Side bandをミリ波の周波数に合わせ、中心波長(入射光の波長)を光フィルタで取り除くことで生成することができる。この方法では非常に精密で安定した2波長光信号を生成することができる点が大きなメリットであ5図10 1~1.3 µm帯のヘテロジニアス量子ドット波長可変レーザの波長可変特性 -50-45-40-35-30-25-20-15107810801082108410861088波長(nm)光出力(dBm)11 ~ 40 mW波長(nm)図11量子ドット利得チップとSiフォトニクス光集積回路をヘテロジニアス集積した2波長レーザの概観写真(上段)と集積した各光素子の典型的なSEM画像(下段)Siphotonics 光集積回路QD-SOA434-1 光電子融合プラットフォーム
元のページ
../index.html#47