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るが、素子が大きく、非常に高価な点が難点である [15]。しかしながら、2波長光信号生成技術を用いたネットワークの応用や高機能化、コストなどを念頭に入れた場合、非常に小型・低コスト、低消費電力でミリ波を生成することが可能な差周波可変型の2波長信号生成素子の研究開発が期待される。図11はQD利得チップ(QD-SOA:Quantum Dot Semiconductor Optical Amplifier)とSiフォトニクスPICsをヘテロジニアス集積した2波長発振レーザの概観写真(上段)と集積した各光素子の典型的なSEM画像(下段)を示したものである。SiフォトニクスPICには1つのスポットサイズ変換器と同じ設計の2セットのリング共振器フィルタとDBR(Distributed Bragg Reflector)ミラーが集積されている。Si細線光導波路は幅400 nm、 厚み 220 nmであり、スポットサイズ変換器の領域では幅400 nmから先端の80 nmのテーパ構造になっている。リング共振器の共振器長と光結合係数はそれぞれ95 µm、0.4程度であり、FSR(Free Spec-tral Range)は約3.2 nmである。またDBRミラーの長さ、凹凸の深さはそれぞれ、1 mm、10 nm、反射中心波長は1,233 nmとし、半値幅は3.3 nmと設計した。この2波長発振レーザの動作原理としては、まずリング共振器からFSRの波長間隔で透過してきた光のうち、DBRミラーの反射帯域内にある1つの波長のみが選択的に反射され、QD利得チップの方にフィードバックされる。もう一方のリング共振器において、ヒータによる加熱を行うと屈折率が変化することでリング共振器を透過する波長が少しずれることになる。これにより2つの波長が反射されQD利得チップにフィードバックされることになる。一方、QDは図13 小型高密度集積光電子融合デバイス技術を利用した将来のアクセスネットワークの概念図IoT / センサネットワーク【中短距離ネットワーク】Beyond5G 高速・大容量低遅延無線リンクデータセンタネットワークfmmw24681012光2波長生成デバイス変調光光ファイバ超高速PD(O/E Conv.)ミリ波(fmmw) fmmwfLSI実装基盤駆動電子回路Si photonics 光回路量子ドット光素子光ファイバI/O図122波長発振状態のスペクトルとヒータに電力を印加した際における2波長の離調特性1258125912601261236.3236.5236.7236.9出力光強度(arb. u.)波長(nm)周波数(THz)ヒータ電力25.2 mW19.8 mW17.6 mW11.8 mW5.0 mW1.8 mW44 情報通信研究機構研究報告 Vol. 64 No. 2 (2018)4 アクセスネットワークの大容量化を目指す研究開発
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