HTML5 Webook
57/116
裏面入射型とした。InGaAs光吸収層膜厚を最適膜厚とした場合、計算から求められる3 dB帯域幅は16GHzと見積もられた。さらに、電磁界シミュレーションにより10 GHzにおける隣接ピクセル間クロストークは約-30 dBが得られる見込みを得た[11]。図3に試作を行った2D-PDAデバイスチップ外観写真を示す。チップサイズは2.3 mm × 2.3 mmであり、PDピクセル数は6×6の正方配列とした32素子とした。この32-PDA素子からの高周波光電流が効率良く出力可能なようPDA素子に32本のCPW型高周波伝送線路を接続した。3.2デバイス性能評価作製した素子のピクセル暗電流、感度を測定し、全ピクセルにおいて動作を確認した。また2D-PDAのレイアウトは1象限8ピクセルを他象限に対して対称配置したものになっているため、1象限8ピクセルの周波数特性測定結果が、32ピクセル全体の周波数特性の代表値と考えられる。O/E周波数測定結果、図4に示すように8ピクセルともに非常に特性が揃っていることが確認でき、平坦性も良好であることが確認できた。3 dB帯域 = 9.1~12.4 GHz、平均11.2 GHzを得ることができた[12]。マルチコア信号光受信新規開発した2D-PDAデバイスによるマルチコアファイバ信号光の一括受信の基礎検討を行った。実験はまず選択した1つのピクセルについて波形及びビットエラーレート(BER)評価を行った。信号はNRZ信号を強度変調器により形成し、レンズを通してピクセルに光入射を行った。ボーレート10〜39 Gbaudで波形特性を確認した結果、39 GbaudまではEye開口が確認でき、25 Gbaudにおいては大きなEye開口とエラーフリーが確認できた。続いて7コアファイバと試作した2D-PDA間の光結合実験を行った。実験ではコア–ピクセル配置の違いから2コアからの2平行光信号と2ピクセル間の光結合にフォーカスした。その結果1倍光学レンズを介した単純な光学系により良好な光結合が確認でき、2並行光の同時受信波形及びエラーフリーを確認した(図5)。また今回設計を行った2D-PDAピクセルサイズは30 μm×30 μmであり、1倍レンズを通したビームスポット径は約10 μmである。よって設計上の光アライメント余裕度は±10 μmと非常に大きなアライメント余裕を有する。したがって現状のコア配列(三角配列)若しくはピクセル配列(正方配列)をファイバ側若しくはPDA側配列に統一することで、32ピクセルPDAと32コアファイバ間の光結合効率は100 %得られるものと考えられる。また2D-PDA中心部16ピクセル(4×4ピクセル)と正方配列した16コア間で良好な光結合が得られることを想定し、PDA中心部4×4ピクセル(16ピクセル)全数の受信波形評価を行った。ボーレートは25Gbuad(NRZ)に固定し、1コアから光入力を行い、個々の16ピクセルの受信波形を取得した。その結果、図6に示すように、全ての16ピクセルから高品質なEye波形が得られることが確認できた。この結果よりマルチコアファイバのコア配列及びPDAピクセル両者間の配列を一致させることで、今回試作したデバイスは25 Gbaud×16ピクセル=400 Gbpsの一括受信能力があることが確認された[13]。4図3 2次元高速フォトディテクターアレー試作デバイスのチップ全体写真図4 2次元高速フォトディテクターアレーデバイスの周波数特性534-2-2 空間分割多重通信に向けた高速受光素子技術
元のページ
../index.html#57