HTML5 Webook
63/116
がサンプリングレートの差(オーディオでは44 kHz、 モバイルでは30 MHz程度)こそあれ、音声信号処理分野における符号化と本質的に同じであることが改めて指摘され、例えばワイヤレスヘッドフォンにおける低遅延符号化技術を応用可能であることが示された[16]。 また、一方で、5Gにおける大規模(Massive)MIMOなどに対応するため、新たに、空間領域(アンテナ間)の無線波形圧縮技術が提案され、またFH伝送における光変調方式との同時最適化のメリットが明らかになってきた[17]。図3は、提案するMIMO無線信号のための低遅延時空間圧縮・符号化・伝送技術の概念図(上り回線の場合)である。受信された多チャネルの無線波形は、画像通信分野などで用いられる部分空間追従法などの信号処理技術により、空間的冗長性が除去されたのち、適応的符号化器により量子化・符号化される。また、更なるFH帯域の狭窄化のため、PAM4などの多値光変調技術を用いる。特に、これらの空間的、時間的、光帯域的圧縮を再構成後のMIMO無線信号品質の下、同時最適化することでFH帯域要求の大幅な緩和を実現可能である。その原理実証のため、時空間符号及びFH帯域の同時最適化についての実験的検証を行った[17]。図4はその実験系である。×256 massive MIMOシステム(=12、 …、 100 )のFHを想定し、無線生成(20 MHz幅 OFDM信号)、無線伝搬(1パスレイリーフェージング)、時空間圧縮・符号化、ラインコーディング(64B/66B)及びPAM4変調は、オフライン信号処理により行い、FH区間は、5 km シングルモードファイバ(SMF)とした。光PAM4生成にはマッハ・ツェンダ干渉計光強度変調器(MZM)を用い、変調速度は2.5〜10 GBaudとした。30 GHz帯域幅の光検出器(PD)で受信後、時空間伸張・復号及び無線OFDM信号復調はオフライン信号処理にて行った。無線信号の圧縮・符号化について、空間的圧縮には、射影近似を用いた高速の部分空間追従法として知られるFAPI法を応用した[18]。FAPIによる空間フィルタの更新及び空間フィルタリングの要求演算量はそれぞれO(MK)、ここでMはアンテナ数、 Kは圧縮後の空間次数であり、無線信号の復調と比較しても十分に小さい。一方、時間領域の圧縮・符号化は、 G.726などで採用されている、適応差動パルス符号化図3 提案するMIMO無線信号のための低遅延時空間圧縮・符号化・伝送技術の概念図M ch.Karhunen–Loève変換主成分分析部分空間法etc.10110011100L ch.適応差動符号化サブバンド符号化ベクトル量⼦化etc.空間的圧縮量⼦化・符号化(時間的圧縮)光多値変調(光帯域圧縮)サービス/無線通信規格の遅延要求内で圧縮・伝送・伸張(e.g., <100 us)Q bit/sampleR bit/symbolPAM変調DMT変調プリコーディングetc.同時最適化MIMO無線信号波形図4 256チャネル大規模MIMOシステムのFH実証実験系Px256無線MIMO通信路(1パスレイリーフェージング)256xK空間フィルタ(FAPI)…ユーザPオフライン信号処理任意波形生成器光強度変調器シングルモードファイバ5kmフォトディテクタオシロスコープBBURRH……MuxPAM4変調64B/66B line codingレーザ光源(波長1551.7nm)Re/ImADPCMADPCMRe/ImADPCMADPCMユーザ1Kch.256 ch.P ch.594-3 光ファイバ無線技術 ~光・電波ネットワークのシームレスな融合に向けた波形伝送技術の研究開発~
元のページ
../index.html#63