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概要通信技術を用いて様々なサービスが展開されている。音声や映像はもとより、これまでにない規模で、センサーや個々人から様々な情報を集め、様々なニーズに応じてそれらを加工し、必要なところに伝える、といった、高度な情報処理と通信を使ったサービスが実現されている。このようなサービスにおいては、例えばレコメンデーションサービスのように、より多くの情報を結び付けることで、より価値の高いサービスが実現されることになる(例えば、知りたいと予想される情報カテゴリーと、最新情報を結び付けることで、本人にとって価値のある情報をいち早く届けることが可能となる)。すなわち、サービスという観点からはより多くの情報を地理的要因や時間の遅れなく、いかに多く結び付けられるかがネットワークの価値に直結することになる。例としては、8K等の超高精細映像転送においては、100 Gbps級の非圧縮データをテレビ番組に応じて各地のキー局から遠方の放送局に転送する必要が出てくる。また、クラウド化されたデータセンタにおいては、データセンタ間の通信の伸びは著しく、現在の伸び率を適用すると2030年ころまでにはデータセンタとエンドユーザ間を越える通信量が予想され[1]、また、エンドユーザによるネットワーク利用についても深夜帯と早朝帯で3倍以上のトラフィック変動があり[2]、利用状況に対応できるネットワークが求められている。このようなニーズは今後も増え続けることが予想され、コア網やメトロ・アクセス網といった違いを意識させずに一気通貫で柔軟かつ高速可変性なネットワークを実現することが重要な課題となっている。本稿では、このようなニーズを満たすネットワーク技術として研究開発を進めている大規模フラットネットワークの基盤技術を紹介する。大規模フラットネットワーク技術の概要2.1大規模フラットネットワークに向けた課題現在のネットワークは目的に応じて異なる形でネットワークが構成されてきた。それを概念的に示すと図1(左)のようになる。コアネットワークではネットワークのバックボーンとして、波長多重技術等により12一気通貫で柔軟かつ高速可変なネットワークを実現する大規模フラットネットワークの研究開発が進められている。このネットワークは従来のネットワーク間の特性の違いを超高速のスイッチ技術やモニタ技術、制御技術により、吸収・協調させ、ネットワークの大規模化やフラット化を目指すものである。これまで開発されたデバイス技術や制御技術を紹介するとともに、それらを組み合わせて構築する光スイッチの構成やコンセプトの検証実験について紹介する。Large scale flat network technology has been proposed that can provide a flexible and fast re-configurable network. The technology enables us to receive various services via conventional net-works without being conscious of differences in characteristics between the networks. To realize the large scale flat network technology, we have been investigating several technologies including ultra-fast switching device, optical performance monitoring and control technologies. This paper introduces the large scale flat network technology with the device and control technologies and some verification experiments are also reported.5 光ネットワークのフレキシビリティ向上を目指す研究開発5Research and Development Regarding Improvement in Flexibility of Optical Network5-1 大規模フラットネットワーク基盤技術5-1Technologies for Large Scale Flat Optical Network橋本俊和Toshikazu HASHIMOTO675 光ネットワークのフレキシビリティ向上を目指す研究開発

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