HTML5 Webook
74/116
界吸収型光変調器(EAM: Electro-Absorption Modu-lator)をゲートとして用いた超高速スイッチ素子を実現した。図2に作製した4×4のマトリックススイッチ素子を示す。導波路型変調(MZI:Mach-Zhender Interferome-ter)により、原理的には損失なく回路中を伝搬する光信号の行先を切り替えるとともに、EAMにより光信号の透過・遮断を選択することにより、光スイッチに求められる光信号のパターンや偏光に依存しない高いON/OFF比と高速応答性が実現される。さらに、光スイッチとして機能させるためには、光スイッチ素子の駆動回路が必要であり、高速応答性を実現するために、InPをベースとしたHEMT(High Electron Mo-bility Transistor)ドライバを開発するとともにそれを光スイッチと直接電気的に接続させるフリップチップ実装を実現し光モジュールを実現した(図3)。これにより、スイッチを構成するMZIとEA変調器どちらも1ナノ秒以下のスイッチング速度を達成している。また、MZIとEAMのそれぞれの偏波依存性を互いに打ち消すようにすることで偏光依存性を約1dB以下に抑え、光ファイバ増幅器等により安定して増幅可能な挿入損失約20 dB以下、消光比-40 dB以下を実現している。さらにそれを用いて4×4規模の光スイッチサブシステムを実現した。更なる大規模化に向けて、光素子としては1入力16出力の分岐選択型の光スイッチを実現しているが、分岐に伴う原理損失が12 dBありそれを組み合わせて16入力×16出力の光スイッチを構成した場合、損失が大きく、光ファイバアンプ等による損失補償が困難となるため、光スイッチ素子の損失低減や、サブミクロンの精度の組立技術が要求される光モジュール化において16ポートの入出力を安定して光接合させる組立技術等の研究開発を現在進めており、今後、更なる大規模光スイッチの実現が期待される。3.2フラット網光信号品質モニタ・監視技術大規模フラットネットワークでは、様々なニーズに応じて頻繁なパス切替えが行われ、光パスが動的に設定される。その光パスの伝送品質の担保やネットワーク内に多数配置される光スイッチ等の障害検出など、図3 ドライバ集積した光スイッチモジュールのスイッチング特性図4 OSNRモニタの計測方法70 情報通信研究機構研究報告 Vol. 64 No. 2 (2018)5 光ネットワークのフレキシビリティ向上を目指す研究開発
元のページ
../index.html#74