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図6(a)に示すように光パスをバンドルしてルーティングし、ノードでの光信号の送り出しと取り出しは波長ごとに処理する GRE(Grouped Routing Entity)方式と、さらに、端点領域における光パスのアグリゲーションを行い波長ごとあるいはバンドルでのルーティングを行うことで高効率化を実現するVDR (Virtual Direct Routing) 技術の提案・実証を行っている [6]。GRE方式とVDR技術の有効性を示すため、パスの設立・解放を考慮した動的経路波長割当アルゴリズムを用いてネットワークの設計を行い、その性能を評価した。具体的にはダイナミックなトラフィックに対するブロッキンング特性を評価することにより、GREネットワーク及び従来のネットワークとの性能比較を行った。図6(b)に示すとおり、ホップリミット数4(フィルタ透過回数を6回に制限し、ブロッキング割合を0.001で比較すると、ダイナミックトラフィック制御において、最大約25% 程度パスの収容数を増加(ファイバ数を削減)可能であることを実証している。さらに、パス数、パス容量分布並びに総パス容量の変化等に対する効率的なネットワークアップグレード設計法を開発し、従来技術と比べて、ファイバ数を最大15% 程度削減可能であることも確認している。これらの結果は、大規模フラットネットワークを実現する大規模ネットワーク制御基盤技術として、本技術の有効性を示しており、フラット網光信号品質モニタ・監視基盤技術と組み合わせることにより「大規模化ネットワーク技術」として、距離のフラット化が実現されるものとして期待される。3.4大規模フラットネットワーク構築のための弾力性のある光パス設定制御基盤技術大規模フラットネットワークにおいては、様々なニーズに応じて頻繁なパス切替えが行われ光パスやルーティング制御を即応的に設定する必要がある。これに対して、現在の準静的な、あるいは、緩やかなプロアクティブ型のパス設定制御は、ネットワーク状態の変化に対する即応性という意味では不十分になると考えられる。そこで、現状の対応状況を柔軟かつ迅速に修正する、あるいは、劣悪状態からの強い修復能力を有するパス設定制御や同一経路の周波数軸上の帯域柔軟性に着目した「弾力性」のある適応制御技術が必要となる。本研究開発では、弾力性のある光パスの波長/ファイバ割当方式と複数経路決定・選択制御に取り組み、適応制御性能向上を図り「弾力性」をもたらす制御技術の実現を目指している[7]。1つの例として光パケット交換(OPS:Optical Packet Switching)から光回線交換 (OCS:Optical Circuit Switching)のオフローディングイメージを図7に示す。これはOPS網における負荷状況に応じて、能動的にOCSパスを準備し、保存パスとして提供す図6 (a) GREにVDRを適用したネットワークイメージと (b)パスの収容数評価図7 OPS/OCSのオフローディングのイメージ図(a) (b)72 情報通信研究機構研究報告 Vol. 64 No. 2 (2018)5 光ネットワークのフレキシビリティ向上を目指す研究開発
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