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ることにより、より適切な対地間にオフローディングパスを提供するものである。プロアクティブなOCS保存パスを用意することにより、OPS/OCSの動的な切替えを円滑に実現することが可能となる。オフローディングの効果を見るために計算機シミュレーションで定量的な性能を評価した(図8)。オフローディングなしの方式と比較して、パス棄却率は劣化しているものの、パケットロス率を劇的に改善させている。特に高負荷時には、2桁程度の特性改善が見られている。さらに、強化学習であるQ学習をベースに下流の輻輳状況を考慮に入れた知的OPS-to-OPSオフローディング等の提案・実証も進めており、これらを用いることで、より高度な弾力制御が可能となると考えている。冒頭のネットワーク階層による違いで述べたとおり、OPSとOCSとではネットワーク特性の違いが大きく、超高速の光スイッチの導入だけではOPSとOCSとの融合は困難であり、弾力性のある光パス設定制御基盤技術と超高速の光スイッチを組み合わせた「弾力化制御アシスト高速スイッチングネットワーク技術」により初めて、光スイッチの高速性を生かした、時間のフラット化を実現するネットワーク技術が実現されると考えられる。大規模フラットネットワーク技術の概要大規模フラットネットワークは3で紹介したハードウエアとソフト(制御)の要素技術を相互に連携させることにより実現される。それぞれ相互に補完して一体となる技術であるが、時間のフラット化と空間のフラット化という観点からは、大きく以下のような組合せとなる。時間のフラット化を実現する「弾力化制御アシスト高速スイッチングネットワーク技術」は、主に、3.1の超高速光スイッチ技術と3.4の弾力性のある光パス設定制御技術とを組み合わせることにより実現される。また、空間のフラット化を実現する「大規模化ネットワーク技術」は、主に、3.2 の光信号品質モニタ・監視技術と3.3の大規模ネットワーク制御技術とを組み合わせることにより実現される。本研究開発で検討を進めている、これらを連携させたシステム構成や実験例をいくつかを紹介する。4.1弾力化制御アシスト高速スイッチングネットワーク技術 [8]超高速スイッチ技術を用いることにより、25 Gbps級の変調信号によるパケット伝送が可能となる。一方、現在、コア、メトロ領域で回線交換用のスイッチは4図8 パケットロス率(左)、パスの棄却率(右)図9 弾力化制御アシスト高速スイッチングの概念図735-1 大規模フラットネットワーク基盤技術

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