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WSSが主流であり、物理的な応答速度としてマイクロ秒オーダーで切り替えることは現状困難であり、さらに集中制御型のネットワークコントローラを介し、切替えを行うためには秒オーダーの時間を要する。高速スイッチによる光パケット処理とWSSのようなゆっくりとした回線交換用のスイッチとのギャップを埋めるのが弾力性のある光パス設定制御技術である。図9はそれの最も簡単な例として模式図で表したものである。波長リソース(λ1~λ3)がノード(○印)に対してどのように割り当てられるかを示している。左端のノードから出た信号が、OCSとOFS(Optical Flow Switching)とOPSでどのように伝えられるかを示しており、OCSは波長の色に応じてどこのノードとつながるかが決められており、OFSは左端のノードをトーカー、他をリスナーとして光ラベルで送り先を決めている。OPSはすべてのノードが自由に信号を出し入れしている。これらのスイッチング構成に対して、①光割当制御、②パス/ラベルの制御切替、③フロー/パケットの切替えを行うことにより、言わば、ネットワークの階層性をスイッチ装置に取り込んで、(①のプロアクティブ制御や波長保存パス制御等により瞬時割当を可能にして)スイッチである程度ローカルに制御可能な形にまとめることで、高速かつ柔軟な切替えを可能とするスイッチを実現する。図9の②、③については、現在、光スイッチと光ラベル処理器を組み合わせ装置化しており、WSSにより構成されたRODAMの光ノード装置と連携させることにより弾力化制御アシスト高速スイッチを構成する(図10)。今後、本装置構成を実際に構築して、OCS-OFS-OPSの各スイッチングモードを切り替えて3ノード程度を連携動作させる基本的な実証実験を行う予定であり、現在装置化を進めている。4.2大規模化ネットワーク技術 [9] 大規模ネットワーク制御技術により検討を進めているGRE(Grouped routing entity)やVDR (Virtual Di-rect Routing) 技術を導入することにより、多数のROADM装置を連携させ高効率な大規模ネットワークの実現が期待できるが、超高密度波長分割多重ネットワークでは、規模の拡大に応じて予期せぬ伝送特性変化(想定と異なるレーザ周波数ドリフト、WSS透過特性の非再現性など)の影響を受ける可能性が増大することとなる。そのため、ネットワーク運用観点から高信頼化、高効率化(マージンの最小化)に向けて、ネットワーク状況の把握やそれを基にした制御が必要となる。そこで、本研究開発においては光パフォーマンスモニタ(OPM: Optical Performance Monitor)が配備されたGrouped routing(GR) networkを構築し、その有効性の検証実験を行っている。図11にそのネットワーク構成のコンセプトと実際に作製したノード装図10 スイッチ装置の構成(左)と光スイッチサブシステム及びラベル処理ボード(右)図11 ネットワーク構成のコンセプト(左)と実際に作製したノード装置(右)74   情報通信研究機構研究報告 Vol. 64 No. 2 (2018)5 光ネットワークのフレキシビリティ向上を目指す研究開発

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