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イバ資源を共有していたことにより、EDFAの利得過渡応答の影響が生じQoTが劣化する。本稿では、光パスB及び光パスCのようにQoT劣化の影響を受ける光パスを、「QoT劣化光パス」と呼ぶ。この場合、1ホップずつ順次再調整を繰り返していく必要があり、多くのEDFA及びVOAをステップバイステップで再調整する必要がある。結果として全ての光パス伝送が十分に安定して実施されるまでにより長い時間がかかる。 従来のEDFAを用いた場合におけるネットワークスケールのQoT劣化伝搬の影響を計算機シミュレーションにより評価する。最初に、12ノード34片方向リンクから成るJPN12モデル(図9)を評価トポロジとして採用した。各光パスは、全ての送受信ペアに対して1本ずつ最短経路で設定されていると仮定する。各シミュレーション試行において、ネットワークのいずれかのリンクに障害が発生したとし、当該リンクを経由する全ての光パスが切断されるとする。図10に、単一リンク障害が発生した場合に影響を受けるリンク数を示す。ここで、影響を受けるリンクとは、障害リンクを経由している光パスの信号が消失することによりQoT劣化を受ける「QoT劣化光パス」が通過する宛先ノード側のリンクである。複数のQoT劣化光パスから影響を受ける場合でも1とカウントしている。図10の横軸は、各試行における障害が発生したリンクIDを表す。この図より、例えばリンク4に障害が発生した場合、全体の29.4%にあたる10本のリンクが、障害リンクから直接的な影響を受ける可能性があることが分かる。続いて、任意のリンクが1本切断された際に、各リンクを伝送中のパスのうちどの程度のパスがリンク切断の影響を受けるかを図11に示す。つまり、任意のリンクで障害が発生した際に、各リンクを伝送中のパスに対して、直接的にQoT劣化の影響を受ける光パスの割合を表している。図11より、リンク障害が発図9 伝送品質劣化の伝搬都道府県名ノード名ID北海道札幌1宮城県仙台2東京都東東京3東京都西八王子4石川県金沢5長野県長野6愛知県名古屋7大阪府大阪8広島県広島9愛媛県松山10福岡県博多11沖縄県那覇1214271238496101511123456789101112131617181920212223242526272829303132333415XUnidirectionallink failureDisconnected pathQoTDamaged pathsTimeλLink failure (Link 7)PowerExcessivelyamplifiedPowerLink # 22PowerLink # 18TimeλTimeTimePath APath BPath CJPN-12図11 単一リンク障害におけるリンクごとの QoT 劣化パス割合図10JPN12トポロジにおける単一リンク障害により影響を受けるリンク数82   情報通信研究機構研究報告 Vol. 64 No. 2 (2018)5 光ネットワークのフレキシビリティ向上を目指す研究開発

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