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表1に示すように、リソース制御の自動化技術は、主に、抽象化(abstraction)、配分(allocation)、調整(adjustment)及び調停(arbitration)の4つの機能要素で構成され、それらによって、VNを、トラヒック量や処理負荷、リソース状況等の変動に適応させること(adaptation)が可能となる。3では、計算機資源の自動調整及び自動調停による、VNの3種類の制御手法(Vertical scaling、Horizontal scaling、Internet-work scaling)について紹介する。表1 VNの資源制御自動化の機能要素FunctionsDescription抽象化(abstraction)不均一で分散された仮想資源を簡易な形式で表現し、簡易なインターフェースで情報開示配分(allocation)資源の選択、予約、割当て調整(adjustment)各サービス用VN内部における、ネットワーク環境変動に応じた資源の追加、削除、増減、移行等調停(arbitration)複数のサービスVNsに対して、有限な資源を適時適切に動的分配計算機資源の自動調整技術3.1Vertical Scaling本節では、ディレクトリサービスの機能に対する仮想計算機資源の動的配分のための仕組みについて記述する。我々は、IoTデバイスのプロファイル情報をレコードとして蓄積するためのIoTディレクトリサービスについて研究開発を行っている [17]–[20]。3.1.1 IoTディレクトリサービスIoTディレクトリシステムによって、多様な属性を含む膨大な数のレコードを蓄積でき、かつ自動運転のようなIoTアプリケーションの通信遅延に対する厳しい要求を満たすような高速な情報検索や情報更新が可能である。IoTディレクトリサービスに対するレコードの検索要求時にIoTアプリケーションクライアント間の通信遅延を低減するために、レコードが、遠くの位置にあるディレクトリサーバから、IoTアプリケーションクライアントの近くにありオンデマンドに仮想計算機資源上に生成されるキャッシュサーバにコピーされる。IoTディレクトリサービスにおいて、トラヒック量が変動しても、優れた資源利用効率を得つつ所望の通信遅延性能を維持するために、動的な計算機資源配分が必要である。キャッシュサーバは、主に、資源利用状況測定と計算機資源調整の2つの機能を有する。測定ユニットは、トラヒック量や資源利用状況等を定期的に測定し、コントローラに測定データを提供する。同様に、計算機資源調整ユニットは、コントローラからの要求に基づき、計算機資源の割当量の増減を実行する。3.1.2各サービスにおける、通信遅延に基づく動的な計算機資源調整コントローラ内の分析装置は、測定データと性能要求を入力として、多変量の閾値ベースの動的資源調整アルゴリズムを実行し、瞬時に、必要な計算機資源量を導出する。このアルゴリズムは、図2に示されている、通信遅延と資源利用の関係性のロジックに基づいたものである。資源利用状況としては、“Low”、 “De-sirable”、 “High”の3種類に分類され、資源利用率が“Desirable”の範囲になるように、計算機資源の割当量が動的に調整される。一般に、資源利用率が高いほど検索のレイテンシが大きくなり、一方、資源利用率が低いほど検索のレイテンシが小さくなるが資源利用の効率が悪くなる。前述のアルゴリズムでは、各サービスの品質(通信遅延等)に対する要求に依存して、レイテンシの最大許容値(Lmax)が固定であり、一方で、レイテンシの最小値(Lmin)及び“Desirable”の範囲を決定するための高低の閾値(UhとUl)は、当該アルゴリズムによって動的に調整される。3.1.3評価図3に、(a) 経過時間(単位:秒)に対する検索レイテンシの平均値(単位:ミリ秒)とトラヒック負荷及び(b) 経過時間に対するCPU割当率(単位:%)とCPU利用率(単位:%)を示す [12][20]。CPU割当率は、物理CPU資源量に対して、サーバに割り当てるCPU資源量の割合であり、CPU利用率は、CPU割当量に対して、実際に使用しているCPU資源量の割当てである。図から、動的資源調整アルゴリズムによって、トラヒック負荷が増えても、CPU割当率を調整する3通信遅延資源利用率LowDesirableHighℎ図2 通信遅延 vs 資源利用率876-1 仮想ネットワークの自動構築制御技術

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