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シン数を事前に推定する提案方式を実装した。その上で、資源に対する需要が急増するような非日常ケースのイベントも発生させて、リアクティブに計算機資源調整する方式と、サービス要求の棄却率について定量的に比較した [23]。その結果、リアクティブ方式でサービス要求が約1%棄却する状況において、事前に計算機資源需要予測を行う提案方式は、各サービスに対して計算機資源を約15%余分に割り当てることによって、サービス要求の棄却率をほぼ回避できることが分かった。3.3Internetwork Scaling本節では、共通の物理ネットワーク上で、複数のサービスネットワーク(VNs)間で計算機資源を共有するための動的資源調停技術について説明する [10][11]。さらに、各ネットワークノード内の複数サービス間資源調停を実行してもサービス品質維持ができない場合において、ネットワーク機能を別のネットワークノードに動的に移行する技術についても説明する。各VN上では、SFCによって、複数のvNFsから構成されるサービス機能チェインが構築される。各vNFを動かす仮想マシンにおける計算機資源(例:CPU)は、トラヒック負荷や資源利用状況によって、動的に調整(増加もしくは減少)する必要がある。さらに、データプレーンにおけるトポロジ再構成やスイッチ切替等は時間を要求することが多い[26]ので、サービスを維持するため、なるべくデータプレーン上の経路(データを転送するリンクと物理スイッチ)を変更することなく、計算機資源を調整することが望ましい。図5に、複数VNsとサービス機能チェインの構築及びCPU割当てのイメージを示す。4つのネットワークノードで構成されたネットワーク上で、4つのVNsが構築され、各ネットワークノード内でサービス機能を実行するための物理計算機資源は、複数の仮想マシンを作成することで共有される。多様なサービス要求が混在する環境を想定し、VNsは各々、QoS要求が異なる。例えば、高QoS(最高優先)、中程度QoS、低QoS(ベストエフォート)の3レベルへの分類が考えられる。この例では、各VNは、複数のネットワークノードをまたいで、1つのサービス機能チェインを構築する。例えば、VN 1の例では、ネットワークノード1、2、4をまたいでサービス機能チェイン(パス #1)を構築し、各ノードで異なるNFを動かす。VN x に対して、ネットワークノード y で割り当てられているCPU資源量を、axy とする。3.3.1同一ネットワークノード内の複数VNs間の動的資源調停動的資源調停プロセスでは、各ネットワークノードにおいて、あるVNに割り当てられた仮想マシンのCPU使用量が増加し、あらかじめ設定された閾値(θh)を超えた時に、別のVNに割り当てられた仮想マシンで、CPU使用量が小さく他VNに資源譲与可能なCPU資源があった場合に、後者のCPU資源量を減らし、前者のCPU資源量を同量だけ増やすことで、調停を実現する。ここで、我々の提案方式では、QoS要求レベルが高いほど、優先的にサービス品質を維持すべくCPU資源が配分される。資源譲与可能か否かを判定するための閾値(θl)はあらかじめ設定され、各VNの仮想マシンのCPU使用量が、θl 以上θh 以下となるように、複数VNs間で資源調停がなされ、前述のaxyの値が調整される。閾値については、制御ポリシに基づいて、柔軟に変更可能である。図6に、資源VN番号CPU割当量1a112a213a314a41VN番号CPU割当量1a122a223a324a42VN番号CPU割当量1a142a243a34= 04a44= 0VN番号CPU割当量1a13= 02a23= 03a334a43サービス機能パスNode 1Node 2Node 4Node 3#1#2#3#4図5 複数VNsとサービス機能チェインの構築及びCPU割当てのイメージ896-1 仮想ネットワークの自動構築制御技術
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