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行する方式(Dynamic-1)及びノード内資源調停とノード間機能移行の双方を実行する方式(Dynamic-2)の計3方式を、シミュレーションにより定量的に比較した結果である。シミュレーションでは、CPU使用量の変動に伴う資源調整を500回試行した際に、何回CPU飽和状態が発生したかを導出した。VNs数を10とし、VN 1、2、3が高QoSレベル(q=1)、VN 4、5、6が中QoSレベル(q=2)、VN 7、8、9、10が低QoSレベル(q=3)とする。Dynamic方式において、(m(1) – m(2)) 及び(m(2) – m(3))をd とし、dの値を変更させて、5種類の特性を導出した。各種パラメータ等の前提条件や設定については、文献[10][11]に詳述されている。Dynamic方式は、Static方式と比較して、時間変動するCPU使用状況に応じてNFへのCPU割当量を動的に調整することによって、CPU飽和発生回数を低減できている。さらに、Dynamic-2は、全QoS要求レベルにおいて、Dynamic-1よりも、CPU飽和発生回数を低減できている。また、提案する資源傾斜配分法によって、QoS差別化が可能であり、かつ、より高いQoSを要求するVNsの特性を改善できている。まとめ5G・IoT時代において、今後、ユーザのサービス要求の多様化により、通信量がますます増加し、かつ時々刻々と変動することが予想される。運用・管理データの増大やシステム複雑化、ネットワーク設計や再構成等の複雑化に対処するためには、機械学習等を活用し、各サービスを提供するための仮想ネットワークやサービス機能チェインの構築・制御(特に計算機資源調整)・運用管理の自動化及び高速化を図ることで、迅速なサービス提供や早期障害復旧、通信量変動への適応化を実現する必要がある。本稿では、仮想ネットワークの構築制御における自動化技術に関する研究開発成果の一部を紹介した。今後、例えば、サービス機能チェインの計算機資源の調整制御においては、いかに、機械学習等を駆使した高度自動化によって、サービス品質の維持向上や制御処理の高速化を実現するか、といった課題が挙げられる。謝辞本研究は、原井洋明総合テストベッド研究開発推進センター長、地引昌弘主任研究員、Pedro Martinez-Julia研究員、福島裕介研究員、Abu Hena Al Muktadir研究員、平山孝弘研究員、藤川賢治主任研究員、小針康永研究技術員らと実施した。また、研究開発にご協力いただいた関係各位に感謝する。【参考文献【1https://www.etsi.org/technologies-clusters/technologies/zero-touch-net-work-service-management. 2R. Sherwood, G. Gibb, K. Yap, G. Appenzeller, M. Casado, N. McKeown, and G. Parulkar, “FlowVisor: A Network Virtualization Layer,” OpenFlow Switch Consortium, Technical Report, Oct. 2009. 3M. Chowdhury, M. R. Rahman, and R. Boutaba, “ViNEYard: Virtual Network Embedding Algorithms With Coordinated Node and Link Mapping,” IEEE/ACM Trans. on Networking, vol.20, no.1, pp.206–219, Feb. 2012. 4B. Han, V. Gopalakrishman, L. Ji, and S. Lee, “Network Function Virtualization: Challenges and Opportunities for Innovations,” IEEE Communications Magazine, vol.53, issue 2, pp.90–97, Feb. 2015. 5T. Taleb, B. Mada, M. Corici, A. Nakao, and H. Flinck, “PERMIT: Network Slicing for Personalized 5G Mobile Telecommunications,” IEEE Communications Magazine, vol.55, no.5, pp.88–93, May 2017. 6IETF RFC 7665 “Service Function Chaining (SFC) architecture,” Oct. 2015. 7IETF RFC 8300 “Network Service Header (NSH),” Jan. 2018.8ETSI GS NFV-EVE 005 V1.1.1 “Network Functions Virtualisation (NFV); Ecosystem; Report on SDN Usage in NFV Architectural Framework”, Dec. 2015. 9A. M. Medhat, T. Taleb, A. Elmangoush, G. A. Carella, S. Covaci, and T. Magedanz, “Service Function Chaining in Next Generation Networks: State of the Art and Research Challenges,” IEEE Communications Magazine, vol.55, issue 2, pp.216–223, Feb. 2017.4データプレーンの経路維持Node 1Node 2Node 3Node 4VN番号CPU割当量1a112a213a314a41VN番号CPU割当量1a'12a12+ a112a223a324a420CPU飽和状態、かつ他VNsに資源の空き無し051015012345678910VN番号CPU飽和発生回数d= 0d= 2d= 4d= 6d= 8StaticDynamic-1Dynamic-2高QoS中QoS低QoS図7 各VNにおけるネットワークノード間の機能移行のイメージ図8 CPU飽和発生回数に関する評価結果916-1 仮想ネットワークの自動構築制御技術

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