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あり、かつ設計も簡単なため広く用いられる。高周波になるほどに中心部の細かい構造が重要になってくる。デバイスはミキサマウントに組み込まれ、IF出力ポート(兼バイアス供給ポート)はアルミ線のワイヤボンディングでIF基板と接続される。デバイスは、曲面部の表面に測定周波数に応じた厚みの無反射コーティングを施した超半球・高抵抗(10 kΩ・cm)シリコンレンズに取り付けられる。ミキサからのIF出力の取り出しやバイアス入力は、マウントに取り付けられたSMAコネクタを通して行われる。このように平面(ログスパイラル)アンテナとレンズを組み合わせたタイプのミキサを準光学型ミキサと呼ぶ。HEBMは静電気(サージノイズ)により大変壊れやすいため、ノイズカットフィルタを挿入するなどの対策が不可欠となる。HEBMを動作させるためには、4 Kに冷却して超伝導状態にする必要がある。冷却系としては、液体ヘリウムのデュワーや機械式冷凍機を用いる。図9に機械式パルスチューブ型 4 K冷凍機とクライオスタット内に設置したHEBM受信機システムを示す。クライオスタット側面の信号窓からRFとLO信号がHEBMに導入され、IF信号は約10 Kに冷却された低雑音増幅器 (LNA: Low Noise Amplifier)と、クライオスタットの外の常温増幅器で増幅され、分光計に入る。バイアスティーを介してHEBMにバイアスが供給される。前述のように、ノイズ(特にバイアス電源の主電源を入れた時に発生するサージノイズ)をカットするためのフィルタを挿入している。図10にHEBMの電流-電圧特性を示す。バイアスゼロでは、ほぼ抵抗ゼロで超伝導電流が流れるが、電圧を上げていくと、図7(b)に示したのと同じ原理で、超伝導から常伝導へと変化していき、高いバイアスをかけると、抵抗(斜めの直線)の特性を示す。デバイスの常伝導抵抗は、スパイラルアンテナのインピーダンス(80 Ω)に合うように作製される。図8 (a) 共焦点レーザ走査型顕微鏡(CLSM)によるHEBMデバイスの中心部。(b)デバイスの全体(サイズは4 mm×4 mm)。(c) 準光学型ミキサマウントの写真。(a)(b)(c)図9 (a) 機械式パルスチューブ型4 K冷凍機  (b)クライオスタット内に設置されたHEBM受信機システム(a)(b)974-4 テラヘルツ波高感度ヘテロダイン受信機の開発

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