おいて、観測されるデータは着色した部分の面積が大きければ大きいほど、多くのセルに分割され、ビーム内を細かく分解して観測することができる。一方、散乱波のエネルギーは、散乱源の状態が均質である場合においては散乱源の面積に比例するから、図の着色した部分の面積が狭いほうが 1 セルに対応する散乱源の面積は増加し、観測値の SN 比は改善されると考えられる。有効帯域幅を10 MHz、積分時間を40秒としたときの方位角125度、距離3kmにおける東西・南北方向の距離分解能の計算値を、仰角・方位角の時間変化とともに図3に示す。準天頂衛星は沖縄で24時間観測できるが衛星高度がGPSに比べ高いため式(8)の⃗の絶対値が小さく、S⃗ が大きいことから、ドップラー周波数変位が小さく分解能は高くない。時間とともにレンジ-ドップラーマップ上の位置が変化するため、積分時間を極端に長くすることはできないが、数十秒程度であれば分解能に比べ十分に小さい範囲の変化にとどまることが図1の左図から読み取れる。散乱波の受信可能条件受信信号とレプリカ信号との相互相関積分で得られる相関振幅ρは、受信信号の電力を 、受信信号以外の雑音電力を とすると、ρ=PAPA+PN(9)で表され、これを用いると受信信号のSN比 は、受信帯域幅をB、積分時間をTとし、さらに≪ であることを考慮すると4図3 分解能の時間変化 上左:南北方向の距離分解能の時間変化、上右:東西方向の距離分解能の時間変化下左:各衛星の仰角の時間変化、下右:各衛星の方位角の時間変化 1254-7 GPS パッシブレーダーによる散乱波の検出
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