データとGISデータを総合的に解析する新しい解析手法を開発した[5]。GISデータ浸水地域の推定に使用するGISデータは以下のとおり。① 土地利用データ土地利用データは、SAR画像とGISデータの位置合わせを行うために使用した。使用した土地利用データは、OpenStreetMapの土地利用データを用いた。② 水域データと道路データ浸水地域を高精度に推定するためには、誤差要因となる河川等の水面と道路を解析対象から除外する必要がある。このために、本研究では国土地理院が整備している基盤地図情報の水域データとOpenStreetMapの道路データを用いて、河川等の水面と道路を解析対象から除外した。③ 数値標高データ(DEMデータ)数値標高データは、人工構造物が密集する地域で高精度に浸水地域を抽出するために使用した。使用した数値標高データは、国土地理院が整備している基盤地図情報の数値標高データ(5 mメッシュ)を用いた。さらに、基盤地図情報の数値標高データ(5 mメッシュ)は、浸水深を推定する解析でも使用した。④ 復興支援調査アーカイブデータ推定した浸水地域を検証するために、国土交通省都市局の「東日本大震災津波被災市街地復興支援調査」のアーカイブデータ(復興支援調査アーカイブデータ)を用いた。浸水マップと浸水深マップの作成浸水マップと浸水深マップの作成は、図5に示すフローチャートで実施した。本解析では、SAR画像中のスペックルノイズを低減するためにPi-SAR X2の高分解能モード(25 cmピクセルスペーシング)で観測された6km四方の画像データを10 pixel×10 pixelで平均化処理した。その上で、SAR画像とGISデータ(土地利用データ)との位置合わせを実施した(図5の手順1)。なお、地上に設置されているGPSのリファレンスステーションは、東日本大震災の影響でPi-SAR X2の地表面観測時に停止していた。この45図5 浸水マップ・浸水深マップ作成のフローチャートSAR画像データGISデータ手順1:位置合わせ手順2:SAR画像からの浸水領域抽出手順4:浸水領域の再抽出手順3:解析領域マスク手順4:浸水深の推定DEM2値化手法道路情報水域情報DEM情報土地利用情報VV画像情報解析しない領域にマスク浸水領域の最高標高を算定浸水領域の最高標高と差分図6 SAR画像(疑似カラー合成画像)と土地利用図図7 OpenStreetMapの水域データ青色:解析対象外白色:解析対象52 情報通信研究機構研究報告 Vol. 65 No. 1 (2019)3 航空機SARによる地表面の観測
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