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ため、航空機の位置を計測しているPOS (Positioning and Orientation Systems)の後処理(GPSのリファレンスステーションのデータを用いて位置誤差を補正する処理)は実施できなかった。POSの後処理ができないことに伴い、航空機の位置計測精度は通常時よりも低下していた。SAR画像とGISデータの位置合わせは、SAR画像と土地利用図中の地物の特徴点をGCPとして設定して、両者の位置ずれ量を目視で計測した。図6にSAR画像上に土地利用図を重ね合わせたものを示す。赤丸は、設定したGCP(Ground Control Point)の位置を示している。本研究では、滑走路の特徴点にGCPを設置(4か所)し、各GCPの位置ずれ量を算定した。その上で、各GCPの位置ずれ量の平均値を算定して、SAR画像とGISデータの位置ずれ量とした。計測の結果、位置ずれ量は、緯度方向に61.53 m、経度方向に12.87 mであった。手順2では、手順1で作成した位置合わせしたSAR画像から2値化法を用いて浸水マップを作成した。2値化法で設定する浸水地域と非浸水地域を識別する閾値は、3で算定したAve_waterを用いた。手順3では、河川等の水面や道路等の浸水地域の推定において誤差要因となる地域をマスクするためのフィルタをGISデータによって作成した。水域のマスクフィルタは、OpenStreetMapの水域データを用いて作成した。図7に作成した水域のマスクフィルタを示す。図7において、青色が解析対象外のマスク領域を示している。道路のマスクフィルタは、OpenStreetMapの道路データを用いて作成した。ただし、OpenStreetMapの道路データは道路の中心線の情報しかないため、全ての道路幅を10 mとして道路のマスクフィルタを作成した。図8に作成した道路のマスクフィルタを示す。図8において、緑色が解析対象外のマスク領域を示している。本研究では、水域と道路のマスクフィルタを結合させて解析対象外をフィルタするマスクを作成した。図9に、解析対象外をマスクするフィルタを示す。図9において、白色は解析対象外を示している。手順2で作成した浸水マップとDEMデータを用いて浸水地域中で一番高い標高を算定し、その値を津波到達水面の標高とした。津波到達水面の標高の算定では、手順3で作成したマスクフィルタを使用することで、河川等の水面や道路の影響を除去した。手順4では、算定した津波到達水面の標高値とDEMを用いて浸水地域の再抽出を行った。浸水地域の再抽出は、浸水水面が津波到達水面の標高まであるという前提の下、図8 OpenStreetMapの道路データ緑色:解析対象外白色:解析対象図9 マスクフィルタ白色:解析対象外茶色:解析対象図10 再解析後の浸水マップ紺色:浸水白色:非浸水水色:海・河川533-1 航空機搭載合成開口レーダーPi-SAR X2とGISによる浸水地域の検出法に関する研究

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