の影響が無い参照点を目視で選ぶなどして地震前後のXTI計測による高さマップをそれぞれ作成したうえで差分高マップを導出し、本稿のXTI差分高マップ(図4)と比較することが今後必要である。この他にも差分高マップ生成の際の位置合わせの精度が悪影響を及ぼした可能性がある。文献[18]により、レーザー測量/DEMによる差分高マップの生成時に局所的な位置合わせを行うことで誤差を軽減する手法が提案され、その効果が実証されている。傾斜地においては、発生前後の高さマップ間に存在する水平方向の位置誤差が差分高マップの高さ方向の誤差として表れる。この点も今後確認が必要である。まとめSARは昼夜間問わず、また雲や噴煙の存在にかかわらず地表面を可視化することができるため、迅速性が求められる災害観測に適したリモートセンシングツールである。本稿ではSARで観測する差分高マップについて、他センサーデータとの比較を通じた評価結果について述べた。その結果、XTI計測による差分高マップには、純粋な地面の高さ変化に加え、樹木の影響が含まれた差分高が算出されていることが示唆された。樹木の影響が含まれているということは、なぎ倒された樹木量も推定できる可能性があるということを意味する。この点についてはその利用価値も含め今後更なる検討が必要とされる。一方、上流の崩壊場所においては、XTI計測の結果は崩壊深がかなり浅く見積もられていることが示唆された。この点については原因の追究及び改善が必要である。謝辞本解析では国土地理院の数値標高モデルを出典明示の上利用させて頂いた。ここに謝意を示します。【参考文献【1大内和夫, リモートセンシングのための合成開口レーダの基礎. 学校法人 東京電機大学 東京電機大学出版局, 2004.2基礎からわかるリモートセンシング. 理工図書株式会社, 2011.3橋詰和紀,田村正行, “PSInSARとSBASの組み合わせによる地盤変動の計測,”リモートセンシング学会学術講演会(秋季), 2014, pp.91–92.4T. Kobayashi, T. Umehara, J. Uemoto, M. Satake, S. Kojima, T. Matsuoka, A. Nadai, and S. Uratsuka, “Volcanic monitoring by polarimetric and interferometric airborne SAR (Pi-SAR2),” Conference Proceedings of APSAR, 2013. 5T. Kobayashi, M. Satake, H. Masuko, M. Shimada, H. Oaku, and U. Toshihiko, “The airborne X/L-band SAR system of CRL/NASDA: system description and preliminary results,” in Proceedings of IGARSS, 1997, pp.1389–1391.6A. Nadai, S. Uratsuka, T. Umehara, T. Matsuoka, T. Kobayashi, and M. Satake, “Development of X-band airborne polarimetric and interferometric SAR with sub-meter spatial resolution,” in Proceedings of the IEEE IGARSS, 2009, vol.2, pp.II-913–II-916.7S. Kojima, A. Nadai, J. Uemoto, T. Kobayashi, T. Matsuoka, T. Umehara, and M. Tanaka, “DEVELOPMENT OF THIRD GENERATION POLARI-METRIC AND INTERFEROMETRIC X-BAND AIRBORNE SYNTHETIC APERTURE RADAR ( PI-SAR X3 ) SYSTEM,” in Proceedings of ISRS, 2017.8佐竹誠, 浦塚清峰, 梅原俊彦, 前野英生, 灘井章嗣, 小林達治, 松岡建志, 真鍋武嗣, 増子治信, “航空機搭載3次元高分解能映像レーダ(Pi-SAR)応用実験,” 通信総合研究所季報, vol.48, pp.113–125, 2002.9“航空機搭載合成開口レーダPi-SAR2による御嶽山の観測.” [Online]. Available: http://www2.nict.go.jp/res/pisar2-ontake/. [Accessed: 11-Mar-2019].10S. Uratsuka, T. Moriyama, T. Umehara, A. Nadai, T. Matsuoka, K. Nakamura, and H. Masuko, “Disastrous environment after earthquake observed by airborne SAR (Pi-SAR),” in Proceedings of IGARSS, 2005, vol.6, pp.4081–4083.11J. Uemoto, S. Uratsuka, T. Umehara, S.-I. Yamamoto, S. Taira, M. Satake, S. Kojima, T. Kobayashi, M. Satoh, K. Kawasaki, T. Matsuoka, A. Nadai, and R. Suzuki, “Development of the onboard processor for Pi-SAR2,” in Proceedings of IGARSS, 2011.12森山敏文, 実藤史明, 上本純平, 石黒敬典, 山口芳雄, “航空機搭載偏波・干渉SAR データによる土砂崩れ検出,” in 信学技報, 2017, pp.1–5.13児島正一郎, 有馬悠也, 山本和朋, 是津耕司, “Pi-SAR X2とGISデータを用いた浸水領域の抽出,”リモートセンシング学会学術講演会(秋季), 2018, pp.291–292.14浦塚清峰, “雲の上から災害を捉える … 航空機搭載合成開口レーダ,” in 山の防災システムセミナー, 2015.15上本純平, 児島正一郎, 梅原俊彦, 小林達治, 佐竹誠, 浦塚清峰, 松岡健志, “Pi-SAR2 用新機上処理装置の開発,”リモートセンシング学会学術講演会(秋季), 2013.16J. Uemoto, T. Moriyama, A. Nadai, S. Kojima, and T. Umehara, “Landslide detection based on height and amplitude differences using pre- and post-event airborne X-band SAR data,” Nat. Hazards, vol.95, no.3, pp.485–503, 2019.5上昇下降下降下降浸食エリア堆積エリアXTI計測による差分高;赤線と橙線の高低差, 地表面の高さ変化;青線と橙線の高低差(a)(b)図6 XTI計測による差分高と地表面の高さ変化に違いが生じるメカニズム613-2 クロストラック干渉SARデータセットの土砂崩れに関する解析
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