EarthCARE衛星搭載雲レーダー(CPR)図1にEarthCAREの観測概念図を示す。Earth-CARE衛星は高度400 kmを約90分で地球を一周する。地方時14時に赤道を通過する太陽同期極軌道であり、地球の自転と共に観測位置は経度方向に少しずつずれていく。こうして全球を観測しながら25日後にほぼ元の位置に回帰する。CPRは衛星の進行方向先端に取り付けられたアンテナから衛星直下にパルス状の電波を発射して、雲エコーを受信する。エコーが返ってくるまでの時間から高度ごとの雲の情報が取得できる。衛星軌道に沿ってこの図のように雲の鉛直断面図が得られることになる。EarthCARE衛星に搭載された他のセンサ(大気ライダー、多波長イメージャ、広帯域放射収支計)も同様に衛星の直下周辺を観測することで、総合的に雲・エアロゾルの放射収支に関する観測が行われる。図2はCPRの外観図である。打ち上げ後に軌道で展開する直径2.5 mの大きなアンテナ(主反射鏡)と送受信機やデータ処理部が入っているプラットフォームからなっている。この大きなアンテナによりCloudSat雲レーダーに比べて約5 dB大きなアンテナ利得(往復)を持ち、感度の改善に貢献している。アンテナビーム幅は約0.1度で地表でのフットプリントは700 m以下である。CPRの周波数は94.05 GHzで波長は3.19 mmである。送信機の最終アンプにはCloudSatと同様にEIKと呼ばれるクライストロン送信管を採用して1.5 kW以上のピーク送信電力を確保している[3]。送信パルス幅は3.3マイクロ秒で500 mの距離分解能に対応する。パルス繰り返し周波数は衛星高度や観測最大高度に応じて変更するが6100–7500 Hzの範囲2図1 EarthCARE衛星の観測概念図1 図2 CPRの外観図主反射鏡プラットフォームⒸJAXA74 情報通信研究機構研究報告 Vol. 65 No. 1 (2019)4 衛星センサによる宇宙からの地球環境観測
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