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(NICAM)[6]で計算された雲のデータを基にCPRで得られるレーダー反射因子(上)と鉛直ドップラ速度(中)を計算したものである。このデータを基にビーム広がりから生じるドップラ測定誤差を付加しパルスペア処理を模擬して得られたCPRのレベル1出力の鉛直ドップラ速度を図4(下)に示す。ランダム誤差が加わっているのでレーダー反射因子の小さな領域では図4(中)に比べてばらついている。またレーダー反射因子の大きな領域の一部で元は下降速度(暖色)の位置で上昇速度(寒色)になっている領域が生じている。これはドップラ速度折返しが生じたためであり、高次処理でドップラ速度の折返し補正することによりこのエラーは補正される。まとめCPRのハードウェアは様々なトラブルにより開発期間が長期にわたってきたが、関係者の献身的な努力でようやくその完成も見えてきた。CPR地上データ処理アルゴリズムについてはハードウェアの試験により様々なCPRの校正値が得られて、ようやく本格的に調整できる段階に至った。これまでは仮の値によって作ってきたアルゴリズムをCPR実機のデータに適用できるように調整を進めて、打ち上げ前までにその完成度を高めると同時に科学的な成果につなげるためのアルゴリズム開発も進めてEarthCAREミッションの成功に貢献したい。謝辞EarthCAREミッションは宇宙航空研究開発機構EarthCARE/CPRプロジェクトチーム(敬称略:富田英一、古川欣司、中塚大貴、 會田芳久、 関義広、岡田和之、 丸山健太、草間哲、 冨山信弘)、衛星利用運用センター(多賀正敏、石原博成、黒岩かおり、野中和明)、地球観測研究センター(沖理子、久保田拓志、菊池麻紀、萩原雄一朗、吉田真由美、高橋千賀子)や国内外のCPR開発メーカーの方々、データ処理アルゴリズムや検証に携わる大学や研究所のサイエンティストの方々、ESA側エンジニアや欧州サイエンティストの方々の様々な方面でのたゆまぬ努力により開発継続されている。また、現在は職場を異動された元EarthCAREプロジェクトチームの方々、特にEarthCAREミッションの立ち上げをリードしてきた皆さま(宇宙航空研究開発機構の中島映至、木村俊義、元NICTの熊谷博、黒岩博司)のこれまでの貢献なくしてEarthCAREプロジェクトはここまで達成できなかったことも言及しておきます。ここに皆さまへの感謝の意を表し、謝辞とします。【参考文献【1A. J. Illingworth, H.W. Barker, A. Beljaars, M. Ceccaldi, H. Chepfer, N. Clerbaux, J. Cole, J. Delanoë, C. Domenech, D.P. Donovan, S. Fukuda, M. Hirakata, R.J. Hogan, A. Huenerbein, P. Kollias, T. Kubota, T. Nakajima, T.Y. Nakajima, T. Nishizawa, Y. Ohno, H. Okamoto, R. Oki, K. Sato, M. Satoh, M.W. Shephard, A. Velázquez-Blázquez, U. Wand-inger, T. Wehr, and G. van Zadelhoff, “The EarthCARE Satellite: The Next Step Forward in Global Measurements of Clouds, Aerosols, Pre-cipitation, and Radiation,” Bull. Amer. Meteor. Soc., vol.96, pp.1311–4図4 数値気象モデル(NICAM)でシミュレートした雲のレーダー反射因子(上)と鉛直速度(中)及びレベル1処理後に得られるCPRのドップラ速度プロダクト(下)76   情報通信研究機構研究報告 Vol. 65 No. 1 (2019)4 衛星センサによる宇宙からの地球環境観測

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