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さらに、2009年にはオゾンやオゾン破壊に関連する微量分子の観測を目的として、 650 GHz帯 SISミキサを宇宙用4 K機械式冷凍機に搭載した、国際宇宙ステーション日本実験モジュール(きぼう)搭載超伝導サブミリ波リム放射サウンダ(JEM/SMILES: Japa-nese Experiment Module/Superconducting Submilli-meter-Wave Limb-Emission Sounder) (図6)がNICT、JAXAにより開発され、HII-BロケットによりHTV(H-II Transfer Vehicle)で打ち上げられた後、約半年間の観測を行った[9] [10]。更に高周波へ3.1国内外におけるテラヘルツ波受信機システムの開発現状更に高周波のテラヘルツ波には、地球の超高層大気の風等を測るのに必要な酸素原子のスペクトルが2.06THzや4.75 THzにある。また、天体(星生成領域)観測に重要な分子スペクトルも数多く存在し、世界的にも開発が進んでいる。例えば、ドイツ(DLR)とNASAで開発実験が行われているSOFIA(The Stratospheric Observatory for Infrared Astronomy)は、ボーイング747-SPに口径2.7 mのアンテナとテラヘルツ波(1.9~2.5 THzや4.75 THz等)受信機を搭載した成層圏を飛行する天文台であり、開発と並行して観測も行われている[11]。また、アリゾナ大学とNASAで開発が進められているGUSTO (Galactic/ Extragalactic ULDB Spectroscopic Terahertz Obser-vatory)は、2021年打ち上げ予定の天体観測用南極周回気球システムであり、オランダ(SRON、デルフト大学)で開発されている4.75 THz帯受信機等が搭載される[12]。NASAでは2016年に南極においてSTO-2 (Stratospheric observatory)の気球実験を行い、南極周回軌道を21日間フライトし、1.46 THz、1.9 THzでの我々の銀河の観測に成功している[13]。さらにNASAにおける将来の大型衛星計画として検討が3図4 (a) 2003年の実験において放球を待つBSMIELS (b)放球に用いられたB80型気球図52004年の実験で観測された、オゾンやその同位体、HCl、HO2などの地球大気微量分子からの放射電波スペクトル。異なる観測高度では、圧力広がりによりスペクトル線幅が異なる。(a)(b)図6JEM/SMILESは2009年にHII-BロケットによりHTV(H-II Transfer Vehicle)で打ち上げられ、約半年間の観測を行った。写真は国際宇宙ステーション日本実験モジュール(きぼう)ばく露部に取付けられた、手前から2台目がSMILES。954-4 テラヘルツ波高感度ヘテロダイン受信機の開発

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