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波数≈429 THzが、NICT-Sr1が生成する標準周波数)にチタンサファイアレーザーを用いた光周波数コム(Ti:Saコム)[13][14]を位相同期する。Ti:Saコムの1つの成分を に位相同期することで、全ての光周波数コム成分が位相同期される[15]。そこで、40Ca+光時計の40Ca+ 2S1/2 – 2D5/2遷移に周波数安定化したレーザー(標準周波数≈411  THz)[16]とこの周波数に最も近いTi:Saコム成分の間の周波数差 を周波数カウンターで計測し、次式のように周波数比を測定した[12]。=+))+ (1)ここで、 と はTi:Saコムの繰り返し周波数とオフセット周波数、 , はTi:Saコムの何番目の信号かを示すコムのモード番号、 はTi:Saコムを光周波数標準に安定化するために必要な外部参照発振器の周波数を表している(図1)。ターゲットは、当時の光周波数標準の不確かさ相当の16桁での周波数比測定だった。(1)式の右辺第1項は不確かさ無しに正確に決まり、第2項はその分子が光周波数計測で利用するマイクロ波帯108–109程度で分母が光周波数の1014程度であることから10–6–10–5程度である。計測の不確かさはマイクロ波でも12桁程度はあるので、Ti:Saコムを含めた計測系の精度は16桁の測定を実現するには十分である。得られた相対安定度(アラン標準偏差)は1000 sで16桁台に到達した(図2)。計6回の測定結果を図3に示す。図中の赤実線と赤破線はそれぞれ重み付き平均と全不確かさを表している。このときのNICT-Sr1と40Ca+のそれぞれの系統不確かさ5×10–16と2.5×10–15及び統計不確かさ1.8×10–16を考慮し、以下のように周波数比 を不確かさ2.5×10–15で決定した。=0.957 631 202 358 049 9 (2 3) (2)この結果は、2012年に開催された国際度量衡委員会傘下の時間・周波数諮問委員会CCTF2012 (Con-sultative Committee for Time and Frequency)に報告された。2012年頃には光格子時計の直接周波数比較はあったものの、異なる原子遷移及び単一イオン光時計と光格子時計の異なる二方式をまたがる直接周波Ti:SaComb周波数コムの位相同期40Ca+安定化レーザー( 729 nm )周波数カウンタで測定Ca=ce+2rep+bbPLL87Sr 安定化レーザー( 698 nm )Sr=ceo+1rep+PLL10010110210310410-1610-151×1014/√τ40Ca+ − 87Sr87Srinterleavedmeas.2.4×1014/√τ図1 光周波数コムを用いたNICT-Sr1と40Ca+光時計の周波数比測定 と はそれぞれNICT-Sr1と40Ca+光時計の周波数、 と はそれぞれTi:Saコムの繰り返し周波数とオフセット周波数、 , はコムのモード番号でTi:Saコムの何番目の信号かを表している。 とこの周波数に一番近いTi:Saコム成分の間のヘテロダインビート信号を周波数 の外部参照信号に位相同期することで、Ti:Saコムを に位相同期する。 に位相同期したTi:Saコムと の間のビート周波数 を周波数カウンターで計測する。図2 周波数比測定の安定度(アラン標準偏差)赤線は周波数比 を測定した際の40Ca+光時計とNICT-Sr1の相対安定度。青線はNICT-Sr1の安定度を表している。(νν0.957631202358050)×1015図3 半年間の周波数比 測定結果横軸の修正ユリウス日は1858年11月17日0時0分0秒(世界時;地球の自転に基づく時刻)からの日数を表す。赤太線と赤破線はそれぞれ重み付き平均と全不確かさを表している。1×10-15よりも良い再現性があることが分かる。1034-5 ストロンチウム光格子時計の周波数比較及び時系生成への応用

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