HTML5 Webook
118/258

局と高精度に周波数リンクすることが計画されている。現在、地球局は世界各地に7か所設置される予定で、NICTにアジア・オセアニアで唯一となる地球局が設置される予定である。これにより、日本国内の光及びマイクロ波周波数標準が光ファイバリンクやTWCPでNICT地球局にリンクし、これを介してACESプロジェクトに貢献可能となる。このような周波数リンクは、標準時系の構築のみならず種々の応用も期待されている。3で紹介した新しい重力センサへの適用はその一例である。この他に、高精度な周波数標準の比較は、微細構造定数や陽子・電子の質量比の時間変動の検証[51]、ローレンツ対称性の検証[52]など自然のより深い理解に貢献し始めている。このような比較には、高精度な基準周波数が必要不可欠である。我々は標準研究機関として、ローカルには光周波数標準を用いた高精度な時系の実現、グローバルにはTAI校正に貢献していく一方で、このような時刻・周波数標準としての役割にとどまらず、自然の不思議を解明するために、必要なときにいつでもどこでも利用できる高精度な基準周波数を供給することも、我々が将来果たすべき役割のひとつと考えている。謝辞本稿では本研究に携わった現在在籍する研究者を共著者に迎えた。研究に参加してくださった過去に在籍されていた多くの研究員や技術員の方々、またサポートしてくださった皆さまに、この場をお借りしてお礼申し上げたい。また、光周波数標準の比較実験は東京大学、PTB, 大阪大学、KRISS, BIPMと共同で行った。ここで感謝の意を示したい。OthersUTKRISS40Ca+115In+87Sr171Yb+OthersOthersOthers171YbPTBOpt. fiberNICT-Sr1NICTOthersOpt. fiberACES参考文献[50]VLBI87SrTWCPTWCPTWCPGPS図18 これまでに実施した周波数比較と今後の予定矢印の青色と灰色はそれぞれ既に実施された周波数リンクと現在進行中及び今後計画されている周波数リンク。表1 NICT-Sr1の周波数リンク実績と今後の予定比較相手拠点リンク方法不確かさ40Ca+光時計NICT光コム2.5×10-1587Sr光格子時計東京大学光ファイバ7.3×10-1687Sr光格子時計171Yb+光時計PTBTWCP1.6×10-15171Yb光格子時計KRISSTWCP5.8×10-16115In+光時計NICT光コム評価中VLBI評価中GPS with IPPP評価中ACES実施予定112   情報通信研究機構研究報告 Vol. 65 No. 2 (2019)4 原⼦周波数標準

元のページ  ../index.html#118

このブックを見る