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5.1.2テラヘルツ基準信号伝送の応用例次に、テラヘルツ基準信号伝送の応用例のひとつとして、日本標準時とリンクした3THz基準信号を光ファイバー経由で伝送し、量子カスケードレーザー(QCL)の周波数安定化の参照信号として利用した実験を紹介する(図28)。NICTは日本標準時を決定・維持しているが、それはNICT本部(小金井)の2号館で行われている。2号館にて、光コムのモード間隔を、日本標準時を基準としたマイクロ波信号で安定化し、機構内敷設ファイバーリンクで6号館に伝送する。誘導ブリルアン散乱を引き起こす励起レーザーの部分と2本の光の差周波としてTHz連続波を取り出す光混合の部分を6号館に移動し、6号館で発振している3THz-QCLの周波数に一番近い 3THz連続波を発生させる。ホットエレクトロンボロメーターミキサー上で、3THz-QCLと3 THz連続波のヘテロダインビート検出を行い、そのビート信号を使って3 THz-QCLの位相同期安定化を行った。図28に位相同期安定化されたTHz-QCLの様子を示す。この結果、日本標準時と物理的に離れた場所においても絶対周波数が保証されたTHzレーザー光を発生できることが確認された。本節では、光コムをベースにしたテラヘルツ連続波発生システムを、テラヘルツ基準信号伝送システムに-0.50-0.250.000.250.50Frequency (Hz) 50km spool-0.50-0.250.000.250.50Hz 1km+50km spool-0.50-0.250.000.250.50Hz JGN90km(nighttime)010002000300040005000-0.50-0.250.000.250.50Hz JGN90km(daytime)100m1101001k10k100k-100-80-60-40-200@100GHz 50km spool 1km+50km spool JGN90km (nighttime) JGN90km (daytime)Power Spectral Density (dBc/Hz)Fourier Frequency (Hz)10-210-110010110210310-1610-1510-1410-1310-1210-11 50km spool 1km+50km spool JGN90km (nighttime) JGN90km (daytime)Averaging Time (sec)Allan Deviation 0.010.11101001000@100GHzFrequency Deviation (mHz)Phase NoisesFrequency StabilitiesFrequency Fluctuations図27 光差周波発生によるテラヘルツ基準信号伝送の実験結果様々なファイバーリンクを使って伝送されたTHz基準信号の周波数の時間変動(左)、それぞれのTHz基準信号の周波数安定度(中)とSSB位相雑音スペクトル(右)。図28 光差周波発生によるテラヘルツ基準信号伝送の応用NICT機構内ファイバーリンク(1 km)とスプールファイバー(50 km)を利用して、3 THz基準信号を2号館から6号館へ供給。伝送された信号に3 THz量子カスケードレーザーを周波数安定化したときのRFビートスペクトルを右下に示した。 1454-7 テラヘルツ周波数標準

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