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イクロ波標準を凌りょう駕がしてきたことを示した[53]。この図は、新たな実験成果が得られるたびに更新され、図2は2019年7月時点で最新の成果を含めたものである[54]。その他、大陸規模の距離でのファイバー伝送技術の実証を目的としたPTB–MPQ間での往復(1840 km)光周波数標準比較実験[55]、その実験を踏まえた欧州の各標準機関をファイバーネットワークでリンクすることによる光周波数標準比較と測地応用の検討[56][57]、将来の衛星搭載も見越した可搬型Sr光格子時計の開発[58]、その可搬型Sr光格子時計を用いた仏伊国境のフレジュストンネルとINRIM(トリノ)との間の重力ポテンシャル差測定実験[59]、光周波数標準を搭載した衛星による重力ポテンシャル差測定に関する測地学的観点からの理論研究[60]、衛星搭載を念頭に置いた光格子時計の要素技術開発[61]及び相対論測地学を進める上で不可欠な解析ツールの理論的な考察[62]、ファイバー接続された光周波数標準器による重力ポテンシャル差測定の定式化[63]等の論文が次々に出版されている。以上のうち、ファイバーネットワークで結合された欧州各国の標準機関を図3に、可搬型光格子時計を用いた重力ポテンシャル差計測実験の概念図を図4に示す。こうした研究の進捗を踏まえ、国際測地学・地球物理学連合(IUGG: International Union of Geodesy and Geophysics)傘下の国際測地学協会(IAG: Internation-al Asociation of Geodesy)の下に、関連分野の研究を推進するためのワーキンググループ(Joint Working Group 2.1 on Relativistic Geodesy)が2017年に設けられた。このワーキンググループは今年2019年を一区切りとして活動を行ってきたが、一連の研究成果について、欧州地球科学連合(EGU: European Geosci-図2 マイクロ波と光、各々の周波数標準器の精度の変遷[54]。図3欧州域内の各研究機間を結ぶファイバーネットワーク[57]。緑の線のリンクでは標準周波数伝送が既に実現している。図4イタリア-フランス国境のフレジュストンネルとトリノのINRIMとの間で実施された可搬型Sr光格子時計による重力ポテンシャル差計測実験の概念図[59]。1575-1 高精度時間・周波数計測と測地学

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