副反射鏡位置読み取り機構は図2に示すように地上から高さ約30mに位置し、地震により大きく揺らされたことが一因であると推測される。次に地震と同時期ではあるが、地震の直接の影響ではないと考えられる故障について述べる。アンテナ設置業者に依頼した集中的な定期保守作業を行ってきたが、2010年2~3月の実施を最後に予算の都合により実施が難しくなった。そこで年間を通して作業請負による点検・保守作業を、アンテナの空き時間に少しずつ、随時実施する方式を2010年10月より開始した。ただし、重機等が必要な作業は別途、専門業者へ依頼して実施した。震災被害により鹿島34mアンテナは平成23年(2011年)、平成24年(2012年)は通常どおりの運用はできなかったが、定期保守は継続して行った。以下に上記2年間の定期点検で発見された主な故障について列挙する。•2011年7月 AZリミット角度の動作確認中にAZ捻回部のケーブルがスムーズに動かず、損傷の恐れ・インターロックケーブルの破断の恐れが発見されて、それぞれ調整した。•2011年7月 AZ No.3モータから異音、調査したところ、モータコントローラ(DCPA:直流電力増幅器)のサイリスタが故障、予備DCPAと交換した。後にサイリスタを購入して交換、予備DCPAが確保できた。•2011年8月:副鏡点検、修理 前述のとおり。•2012年3月:L帯受信機局部発振器のPLOからスプリアスが発生し交換。•2012年3月~10月:L帯導波管切替え器(温度較正用)の動作不良、ドライブヘッドを米国メーカへ返送修理。故障発見から修理まで約8か月を要した。•2012年4月:EL減速機ブレーキ制御系動作不良 リレーの逆起電力防止用ダイオード交換。•2012年6月:AZリミットスイッチ中継端子台腐食、リミット解除スイッチ浸水 中継端子台のネジ等が著しく腐食していたため交換した。リミット解除スイッチの収容箱にあるスイッチが浸水していたため、スイッチを交換。•2012年8月~12月:AZ軸角度読み取り系動作不良AZ軸関係の点検を2012年8月8日、8月14日に行った。両点検作業間はAZ軸を動かしていないが角度表示が約5度変化していた。震災復旧工事途中、10月に調査した結果、信号線の図4 AZ角度エンコーダと基準軸の接続支柱(左)及びAZ基準軸の模式図(右)表2 副反射鏡駆動部の不具合場所不具合内容X軸アクチュエータとプレート固定ボルトのナット脱落Z軸リニアベアリング固定ボルトの緩みZ1軸位置読み取り装置固定部が少し緩み、動く。位置センサーロッド折損Z2軸位置センサーロッドの歪みZ3軸位置読み取り装置固定部が大きく動く、位置センサーロッド折損リニアベアリングX軸、Z軸駆動時にリニアベアリング付近からの異音3.9 m2.4 m0.3 mφ305 mmφ89 mmφ38 mm自在継手接続支柱延長支柱センター支柱AZ角度エンコーダ地下室床面アンテナ固定部196 情報通信研究機構研究報告 Vol. 65 No. 2 (2019)5 時空標準計測・⽐較技術
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