テナ中段の非常停止スイッチ近くで監視を行った。3.4電気系機械系、電気系の納入業者(株式会社理経)による定期保守は平成21年度(2009年度)まで実施していたが、平成22年度(2010年度)以降は予算の都合もあり、実施できなくなった。そこで調整、修理をパーマネント職員等が実施することとしつつ、機械系、電気系の日常保守は平成22年度から平成28年度まで作業請負により実施し、平成29年度以降はパーマネント職員等が行った。アンテナ制御に重要かつ長い納期を要するアンテナ制御用ロジックボード、ACU等は使用開始から10年程度を経過している。これまでに駆動モータのトルク調整等を行うロジックボードのIC故障、ACUプリント基板内のハンダ割れ、直流電力増幅器(DCPA)のサイリスタや電流検出ボードの故障等が時々発生したが、故障調査・修理についても、作業請負の保守作業または、職員等が直接調査・修理・交換等を行ってきた。このようにパーマネント職員等が修理して維持したことで、制御系の理解と調整のノウハウを蓄積し、観測前の点検で発見されることが多い故障においてメーカ等に調査、修理依頼することなく迅速に対応、復旧することができるようになった。アンテナの観測中のトラブルも少なくなった。まとめ鹿島34mアンテナの錆さび腐食に対して、安全を第一に考え補修対策を行ってきた。2018年の補修工事によりアンテナ主鏡背面構造に対する錆さび対策を終えた。装置の故障は観測前の始業点検で発見される場合も多い。輸入代理店業者に依頼する保守ができなくなり職員が調整、点検、修理を実施する機会が増えたことで鹿島34mアンテナ制御系等の理解が進み、近年の老朽化による故障にも迅速に対応することができた。今年度(2019年度)はIVS観測、電波天文観測等のほかに、イタリアのMedicina観測所に設置した小型アンテナとの間で光格子時計の周波数比較実験を実施している。本稿が大型アンテナ施設等の維持管理の参考となれば幸いである。謝辞鹿島34mアンテナ維持には、時空標準研究室(鹿島宇宙技術センター)の旧メンバー、現メンバー、そして保守作業、修理作業等の契約では鹿島宇宙技術センター鹿島管理グループ、本部(小金井)財務部、時空標準研究室(本部)、電磁波研究所企画室の尽力に感謝する。また国立天文台、国土地理院の支援にも深謝する。さらに輸入、建設を行った株式会社理経をはじめ地元から遠方まで多くの業者の方々にご協力いただいたことにより鹿島34mアンテナを維持運用でき、前述の観測、実験を行うことができた。ここに記して深く感謝する。【参考文献【1通信総合研究所季報, “西太平洋電波干渉計システムの開発特集号,” vol.36, 特8, 1990.2通信総合研究所季報, “鹿島宇宙電波観測用大型アンテナによる研究成果特集号,” vol.47 no.1, 2001.3鹿島 34m アンテナ 2012 年 2013 年 2014 年 年次報告書, http://www2.nict.go.jp/sts/stmg/34m/antenna-34m/Annual/34m_hakusyo2012-14.pdf4岳藤一宏, 堤正則, 川合栄治, 関戸衛, “鹿島 34m アンテナのホログラフィ測定,” 2017 年度VLBI 懇談会シンポジウム集録, pp.32–34, 2017.5K. Takefuji, M. TsuTsumi, E. Kawai, and M. Sekido, “Holographic mea-surement for Kashima 34 meter antenna,” IVS NICT-TDC News, no.37, 2017.川合栄治 (かわい えいじ)電磁波研究所時空標準研究室主任研究員電波計測41995-6 鹿島34 mアンテナの維持管理
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