と鉄塔の南側の鉄骨が温められ、陰になっている北側の鉄骨よりも膨張した結果、鉄塔が僅かに2cm北側へ傾斜したためであると考えている。日照量をNICTで計測した結果と比較すると、日照量が少ない日は変動も小さいことが見て取れる。ワイワイとレーザー測距計の値はほとんどの場合数ミリメートルで一致しているが、降雨の直後はエラーが最大1cm程度まで大きくなる。これは、降雨により反射や遅延等の電波伝搬環境が変わるためであると考えているが現時点で確証はない。このように、ワイワイを用いてインフラの変形をモニターできる可能性があるが、反射波等電波伝搬環境の変化により影響が出る条件を明らかにしていく必要がある。展望今まで離れたところにある時計は程度の差こそあれ、ズレているのが当たり前であった。しかし集積回路の進歩等により通信機が精密時刻同期を行えるようになった今、時刻同期を整備することで通信や分散化のオーバーヘッドを極端に減らすことができるようになるかもしれない。本試作モジュールは1台あたり数十万円程度で製作できる。今後事業化されれば単価が大幅に下がることが期待できる。これからも、精密時刻同期を整備した通信基盤へと移行する活動を続け、情報通信インフラを次のレベルへと持ち上げる手助けをしていく。そのためには技術開発だけではなく、情報通信基盤インフラの移行管理のために既述の事業開発、標準化、規制整備、国際連携を異分野の方々と連携して進めていく必要がある。この活動を通して新たなワクワクを生みだすことを目指している。謝辞本研究はJSTさきがけ(Grant No. JPMJPR14D5)の支援を受けて開始いたしました。また、NICTの多くの方の多彩なサポートによりこれまで研究を続けられたことにこの場をお借りしてお礼申し上げます。【参考文献【1D. W. Hanson, “ Fundamentals of two-way time transfers by satellite,” Proc. of the 43rd Annual Symposium on Frequency Control, pp.174–178,1989.2M. Fujieda, T. Gotoh, F. Nakagawa, R. Tabuchi, M. Aida, and J. Amagai, “Carrier-phase-based two-way satellite time and frequency transfer,” IEEE Trans. Ultrason. Ferroelectr. Freq. Control, vol.59, pp.2625–2630, 2012.3N. Shiga, K. Kido, S. Yasuda, B. Panta, Y. Hanado, S. Kawamura, H. Hanado, K. Takizawa, and M. Inoue, “Demonstration of wireless two-way interferometry (Wi-Wi),” IEICE Communications Express, vol.6, no.2, pp.77–82, 2016, https://doi.org/10.1587/comex.2016XBL0181.4B. Panta, K. Kido, S. Yasuda, Y. Hanado, S. Kawamura, H. Hanado, K. Takizawa, M. Inoue, and N. Shiga, “Distance Variation Monitoring with Wireless Two-way Interferometry (Wi-Wi),” Sens. Mater., vol.31, no.7, pp.2313–2321, 2019.5S. Yasuda, R. Ichikawa, Y. Hanado, S. Kawamura, H. Hanado, H. Iwai, K. Namba, Y. Okamoto, K. Fukunaga, T. Iguchi, and N. Shiga, “Horizontal atmospheric delay measurement using wireless two-way interferometry (Wi-Wi),” Radio Science 54 (2019), https://doi.org/10.1029/2018RS006770志賀信泰 (しが のぶやす)電磁波研究所時空標準研究室主任研究員博士(物理学)時空間同期、原子時計、量子情報、イオン層プラズマ、プラズマ物理安田 哲 (やすだ さとし)電磁波研究所時空標準研究室研究員博士(理学)時空間同期、原子時計、プラズマ物理62056-1 繋つながるついでに高精度時刻同期
元のページ ../index.html#211