認協定(CIPM-MRA、2.2参照)と地域計量組織(RMO、3.1参照)状況・他の国際枠組みの報告に続いてトピック課題が議論される。例えば2012年はUTCの今後について、2015年は衛星時刻比較受信機の国際校正の枠組みについて、2017年は再度UTCの今後について議論がなされた。必要に応じてRecommendation等が議決されCIPMにあげられる。過去の会議資料は[6]で確認できる。WGは独立に課題実行の責任をもち、参加資格もWGごとに異なる(例えば現在CCL-CCTF-FSWGでは8機関のみに限定)。多くのWGではチェアの呼びかけに応じて会合が随時開かれ、具体的な課題について議論する。ただ全てのTAI参加機関が構成員となるTAI-WGは特殊であり、その会合はCCTFの活動報告・計画等における実質的な議論の場である(総会は決議の場)。実際2017年の事例では、総会前日に開催されたWG TAI会合の議題は総会と大幅に重複していた。3年ごとに開かれるCCTF総会には、CCTF-TAI-WGの構成メンバーとして、NICT理事長から指名を受けた機関代表者が参加している。短時間ではあるが参加機関のトピックを紹介する時間もあり、周波数標準器の開発状況などを報告してきた。WG活動においては、2012年から花土ゆう子がCCTF-WG-ALGOのチェアを務めるほか、委員としてCCTF-WG-TWSTFT(藤枝美穂)、CCTF-WG-GNSS(後藤忠広、市川隆一)、CCTF-WG-ATFT(小山泰弘、藤枝美穂、井戸哲也)に参加し、ワークショップ開催や国際実験の参画などに貢献してきている。時空標準研究室及びその前身となる研究室では、運用する原子時計データ及び衛星時刻比較データを1985年から30年余にわたりBIPMに定常的に提供し、TAI・UTCの構築に高い寄与率で貢献してきた(参加機関70余の中でほぼ5位以内)。2011年からはUTC速報値(UTCr、毎週公表)の構築にも参加している。Cs一次周波数標準器の絶対周波数もCCTF-WG-PSFSに承認され(熱ビーム型NCT-O1は2004年[7]、原子泉型NICT-CsF1は2007年[8])、TAI構築に貢献した。またSr光格子時計は2012年にCCTF-WG-PSFSから絶対周波数の承認を受け、2019年1月に光周波数標準器として世界で初めて直近のTAI校正に採用された[9]。2025年頃目途で検討されている秒の再定義には光周波数標準が採用される見込みだが、これはその実働の先駆けとなる成果である。2.2CIPM相互承認協定(CIPM-MRA)計量標準の定義や実現方法はメートル法に基づく枠組みで決定されるが、もうひとつ重要な国際取決めとしてCIPM相互承認協定(CIPM-MRA)がある。その目的は、各国の測定標準の同等性を認めその校正・測定証明書を相互承認するための仕組みの構築であり、メートル条約の代替や拡張ではなく外交協定でもなく、NMI所長間の技術的取決めという位置づけである[1]。これは製品輸出に関する国際貿易の円滑化に大きく貢献している。CIPM-MRAに参加するには、校正・測定のレベルを維持する品質システムの審査及び校正・測定能力(CMC)の技術審査等を受ける。次いでRMO内外の審査を順に受け、合格したものはBIPMが管理する基幹比較データベース(KCDB)に登録され世界に公表される。審査においては、CC-WG-MRA・RMO・BIPMがそのプロセスに責任を持ち、BIPMとRMOの合同委員会(JCRB)がKCDB登録への責任を持つ[1]。CIPM-MRAの詳細については、文献[1][2]及びBIPMのwebサイト[10]を参照されたい。またNICTの活動については関連の深い3.1で紹介する。CIPM-MRAに署名できるのは1か国1機関だけであり、日本では産業技術総合研究所(AIST)の計量標準総合センター(NMIJ)がその任を負うNMIである。ただし国家標準を持つ他の機関も、所定の審査を経た表1 CCTF-WGリスト 略称CCTFworkinggroupWG TAIWG AlgoWGPSFSWG GNSSWG TWSTFTWG ATFT*SGOFWG MRAWG SPCCL-CCTF FSWGWorking Group on International Atomic Time Working Group on AlgorithmsWorking Group on Primary and Secondary Frequency Standards Working Group on GNSS Time transfer Working Group on Two-Way Satellite Time and Frequency TransferWorking Group on Coordination of the Development of Advanced Time and Frequency Transfer Techniques*ATFT Study Group on optical fibers for use in UTC Working Group on the CIPM MRA Working Group on Strategic Planning CCL-CCTF Frequency Standards Working Group 2277-1 時空標準活動に関する国際的枠組みへの貢献
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