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TCTFが主催する形で続いている。TCTF主催となってからもNICTは事務局活動を行うなどATFの継続に貢献している。またATFの翌年にNICTが開催してきたトレーニング目的の研究者招へいプログラム(2000–2009年)も、アジア地域の技術力向上に大きな役割を果たした。実際このトレーニング参加者の多くが各機関のリーダー的研究者として活躍している。アジア地域限定ではないが、その他にも単発のイベントとして、衛星双方向国際ワークショップ(2004年)、CMCに関するレクチャーを兼ねたワークショップ(2011年)、光周波数標準に関する国際ワークショップ(2015年)等をNICTで主催し、国際研究交流を促進してきた。このような国際イベント開催に際しては事務局運用の経験も成功の可否を握る重要な要素であるが、活動開始の初期からセクレタリとして務めた根津ひろみの実績はNICTのホスピタリティを長期にわたり参加者に印象付けてきた。NICTは、イベント開催に不慣れな他機関に事務局の効率的な運営方法を伝授する等のサポートも行ってきている。国際GNSS事業(IGS)への貢献米国が運用するGPSに代表される、測位衛星システム(GNSS)の利活用分野は、現在では航法や測位、あるいは測地学にとどまらず極めて多岐にわたり、国際的な共通インフラとして認知されている。このGNSSに係る様々なデータの提供や研究開発を一手に担ってきたのが国際GNSS事業(International GNSS Service)であり、広く“IGS”の略称でよく知られる組織である[14]。IGSは、国際測地学協会(IAG)の事業として、1994年1月に国際GPS事業“International GPS Service”として発足した。その後、GLONASSやGalileo等の、GPS以外のGNSSの登場を踏まえ、2005年3月に現在の“International GNSS Service”に改称した。IGSが提供する観測点データや衛星軌道情報は、発足以来継続してその量・質共に拡充を続け、2019年現在では世界中に展開された400箇所以上の観測点の連続データ及び最高精度の衛星軌道情報を無償で提供し、IGSの存在意義を確固たるものとしている。ただし、IGSは単なるデータ提供組織ではなく、世界測地系の高精度構築への寄与をはじめ、GNSSを用いた各種科学分野・教育・社会生活への貢献や新たな研究プロジェクトの立ち上げ・推進に大きく関与している。先にIGSを「組織」とは呼称したが、その実態は世界100か国以上、200を超える大学や各種研究機関のボランティアによる運営であり、事務局を米国NASAのジェット推進研究所(JPL)内には置くものの、独立の設備や予算を持たない。IGS創設時から25年にわたって事務局長を務め、IGSの国際展開に多大な貢献を果たしたJPLのRuth Neilan氏*1に代わり、2018年3月からJPLのAllison Craddock氏が事務局長を務める(2019年6月現在)。IGSは、国際連合傘下の国際連合宇宙局(UNOOSA)の下に2005年に設立された衛星航法システムに関する国際委員会(ICG)[15]の発足以前の準備段階からの4図3 APMPの構成 [12] Generab Assembby (GA)ExecutFve CommFttee (EC)DevebopFni EconomFes’ CommFttee (DEC)SecretarFatTCAV:Acoustics, Ultrasound and VibrationTCEM:Electricity and MagnetismTCFF:Fluid FlowTCL:LengthTCM:Mass and Related QuantitiesTCPR:Photometry and RadiometryTCQM:Amount of SubstanceTCQS:Quality SystemsTCRI:Ionizing RadiationTCT:ThermometryTCTF:Time and FrequencyTCMM:Materials MetrologyTechnFcab CommFttee ChaFrs’ ForumTechnFcab CommFttees (TCs)2297-1 時空標準活動に関する国際的枠組みへの貢献

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