SRGには日本からも参加しており、2002年のSRG会合には日本からアンケート調査の結果を入力した。このアンケート調査はSRGから2002年のWP7Aにも入力された[8]。アンケートの実施は2001年末、対象は電力・ガス、金融・保険、航空・船舶・鉄道、衛星管制・気象・地震観測、放送・通信、電気・電子・計測機器、時計業界等、日頃時刻を利用する幅広い分野に対して行い、80件の回答を得た。アンケート調査結果を図2に示す。当時のアンケート調査結果では、設問1にあるようにUTCの決定方法(うるう秒調整)に対する不満は2割程度、また設問2にあるようにUTCの決定方法の変更に賛成する意見は約24%と反対の約41%の半数程度で、UTCの決定方法を変更することに消極的であったことがわかる。また設問2の賛成または反対理由を聞いたところ、UTCの決定方法を変更したい理由としてはうるう秒廃止が過半数を占め、変更したくない理由としては現状問題ないことが約半数であった。これらの結果から、当時の日本ではUTCについて、うるう秒調整の影響を受ける関係者以外まだまだ関心が低かったことがわかる。このアンケート結果は、これまで供給する側の専門家としての立場でSRGやWP7A会合の議論が進められていたところに、一般利用者を含む利用者側の意見を入力したことで大いに評価され、今後、一般に向けたアンケート調査の必要性が認識された。UTCの将来問題に一定の方向性を示したのが2003年にSRGの主催でトリノで開催されたUTCコロキウムである。トリノUTCコロキウムではUTCの将来形態として、以下のような方向性で議論が行われた。••連続時系を新たに用意する••天文時と区別するため新たな名称を付ける••International Time : TI はどうだろうか••TIはUTCからの移行時点でUTCと時刻を合わせる••移行はUTC50周年の2022年はどうだろうか••UT1は今後とも必要であるのでIERSから入手できる必要がある••IERSはUT1の予測値をwebやサーバなどを通じ通報すべきである図2 2002年WP7A寄与文書(7A/31)のアンケート結果2417-2 国際電気通信連合(ITU)における活動 —「UTCの将来問題」を中心に—
元のページ ../index.html#247