5年後にうるう秒を廃止することが合意された場合、あなたの政府に何らかの技術的困難を生じさせますか? もしYesならばその理由を説明してくださいこのアンケート結果は2010年のSG7で議論された。回答は当初8か国と2つのセクター会員であったが、SG7関連会合期間中に3か国から追加で回答が届いたため最終的に11か国から回答があった。CACE/516でITU-R勧告TF. 460-6の改訂に関する質問は③であり賛成8か国、反対3か国という結果になった。また②に対しフランスは天文測定学、測地学、通信などに影響あり、日本はタイムビジネス、米国とポーランドはNTPサービスに問題ありと回答している。2010年のSG7では、カナダからCACE/516のアンケートでは回答数が少なすぎるため、再度アンケート調査を行うべきという強い要望もあり、2011年にアンケートの設問を①と③に絞って回章CACE/539で再度アンケート調査を実施した [13] 。再度実施したアンケート結果では、2011年9月のSG7で報告され、ITU-R勧告TF. 460-6の改訂に賛成したのは13か国、反対は3か国であった。••賛成した国 アルゼンチン、フィンランド、フランス、ドイツ、インド、イスラエル、イタリア、日本、韓国、 ノルウェー、ポーランド、トルコ、米国••反対した国 カナダ、中国、英国しかし、英国、カナダ、中国の反対は根強く、SG7では結局ITU-R勧告TF. 460-6の改訂について意見がまとまらなかったためRA-12において議論することとなった。3.2.4RA-12及びWRC-12における議論RA-12は、2012年1月16~20日の日程で開催され、ITU-R勧告TF.460-6の改訂に関する審議は19日の全体会合で審議された。なお、この改訂に関し米国から改訂を支持する寄与文書、英国から改訂に反対する寄与文書が事前に入力された [14][15] 。全体会合では、まずSG7議長からUTCにおけるうるう秒の位置付けと現状、SG7における議論などの背景説明が行われ、寄与文書入力順に、米国の賛成意見、英国の反対意見が述べられ、ディスカッションが開始された。当初は改訂に賛成、反対の議論がそれぞれ続いたが、アフリカ連合を代表するナイジェリアから「今回のITU-R勧告TF.460-6の改訂に関する議論のための情報が少ないため賛成・反対の意見を示せる状態にない。このためRA-12会合でITU-R勧告TF.460-6の改訂を審議するのは時期尚早である。もっとうるう秒調整の影響についてまとめて情報を提示してほしい。」という意見が出され、アラブ連盟を代表するUAEもこの議論を先延ばしにする意見を支持した。この辺りから議論を先延ばしにする意見が多く出始め、これらの状況からRA議長により、加盟各国がこの問題により深い理解を得るために、次回会合までSG7に差し戻して論点を整理して次回の会合で再び議論する方針を提示し、各国が了承した。RA-12の議論では、ITU-R勧告TF.460-6の改訂の点からは結論が先延ばしとなったのだが、連続時系の導入の面ではこれまでと違った側面も見ることができた。RA-12で発言した各国の反応をまとめると表2のようになる。この中でこれまでのSG7等ではITU-R勧告TF.460-6の改訂を支持していたドイツがRA-12においては不支持に回ったことが技術的議論と政策的議論の違いとして驚きをもって受け止められた。また会合の場ではロシアは明確な意思表示を行っていなかったが、実際に個別に話を聞いたところ、ロシアとしては不支持であるとの意向を伝えられた。ただし、勧告改訂に反対している国も連続時系の標準時に反対しているわけではなく、カナダや英国なども連続時系の必要性については認識しており、連続時系の導入自体には反対していないことが個別の意見交換で分かった。米国:勧告改訂を支持。英国:勧告改訂を不支持。カナダ:勧告改訂を不支持。時期尚早。連続時系導入の必要性は認識。中国:勧告改訂を不支持。フランス:勧告改訂を支持。メキシコ:勧告改訂を支持。ナイジェリア:更なる情報提供希望。日本:勧告改訂を支持。ロシア:更なる情報提供希望。今回の勧告改訂は時期尚早。イタリア:勧告改訂を支持。ドイツ:勧告改訂を不支持。UAE:更なる情報提供希望。アルメニア:更なる情報提供希望。トルコ:勧告改訂を支持。表2 RA-12において発言した各国の反応2437-2 国際電気通信連合(ITU)における活動 —「UTCの将来問題」を中心に—
元のページ ../index.html#249