極的に推進した。懸念された中国もWP7A会合と同じメンバーが参加しており、当初は慎重な議論を求める立場を示したが、次第にうるう秒廃止に賛同するようになった。他の加盟国においても慎重な議論を望む国はあっても、現行のUTC存続を推進する国はなかった。またITU-RでITU-BIPM Workshop “Future of Inter-national Time Scale”が開催されたことを受け、APG15においても2015年2月の第4回会合において「議題1.14に関する情報セッション」を設けITU-R事務局、SG7議長をはじめ、オーストラリア、韓国、中国、日本がプレゼンテーションを行った。これらの活動の結果、APTとしてはうるう秒を廃止する方向性がほぼ固まった。また名称についても当初オーストラリアのみMethod A2を支持していたが、名称変更は強い意見ではないとして最終的にAPT全体でMethod A1を支持することに決定した。APG15の議論の中で長年WP7Aに関わってきたことで日本の意見がかなり尊重された。また、APT共通の問題として、うるう秒調整がAPTの加盟各国では朝の就業時間中になるため社会的な影響が大きいことが改めて確認され、「議題1.14に関する情報セッション」における日本やオーストラリアのインシデント報告も大きな影響を与えた。3.3.4CPM15-2及びWRC-15CPM15-2会合は2015年3月23日から4月4日にかけてジュネーブ国際会議場において開催された。加盟国の主管庁とセクター会員から1300名以上が参加、日本からは約50名が参加した。議題1.14関連では、アラブの6か国から「まだ議論が尽くされていないため当面現行のUTCの定義を変更しない」という意見が入力され、議論の結果Method DとしてCPMレポートに追加された。しかし、ロシアが求めたMethod Aの削除は却下された。その他、各国からCPMレポートに対しエディトリアルな修正が加えられ、これらのほとんどは反映された [21] 。WPRC-15会合は2015年11月2日から11月27日にかけてジュネーブ国際会議場において開催された。本会議にはITU加盟国から153か国とセクター会員を合わせ3800名以上が参加、日本からは約80名が参加した。議題1.14に対しWRC-15に入力された各地域連合及び加盟各国からの意見は以下のとおりである。APT:Method A1を支持。(主に日本、韓国、中国、オーストラリア、ニュージーランド、 マレーシア)CEPT:オーストリア、スペイン、フィンランド、フランス、イタリア、リヒテンシュタイン・ルクセンブルグ、モナコ、ノルウェー、ポーランド、スロバキア、チェコ、 ルーマニアはMethod A1を支持。 バチカン、アイルランド、アイスランド、英国、スロベニアはMethod C1を支持。RCC:Method C(C2?)を支持。CITEL:Method A1を支持。 (署名は米国、アルゼンチン、バハマ、 エクアドル、メキシコ、ウルグアイ)ATU :ブルンジ、ケニア、ウガンダ、ルワンダ、 タンザニアはMethod A1を支持。 アンゴラ、ボツワナ、レソト、マダガスカル、マラウイ、モーリシャス、モザンビーク、ナミビア、コンゴ、セーシェル、南アフリカ、スワジランド、タンザニア(ダブり)、 ザンビア、ジンバブエはMethod A1を支持。 コートジボアールはMethod C1を支持。 ベニン、ブルキナファソ、コートジボアール、ガンビア、ギニア、ニジェール、 ナイジェリア、セネガル、トーゴはMethod Dを支持。ASMG:Method Dを支持。(Method Bを支持する地域連合はなし)ここまでの各Methodの支持理由は以下のようになる。Method A1.A2••うるう秒調整が不定期で、かつ、半年前まで調整の有無がわからないことが問題。(自動化できない)••情報ネットワーク社会の進展により2012年のようなインシデントにより社会生活に大きな影響を与えるMethod C1.C2••社会生活の基準となる時系が天文時とずれていくことは社会生活に与える影響が大きい••現在のUTCで動作している機器を新たな連続時系対応させるためには莫大な投資が必要となり簡単に実現できない(GLONASS系時刻供給システムはUTCで動作)Method D••どちらの方法をとればいいか判断がつかないこれらの背景を踏まえた会合では、本議題は突き詰めるとうるう秒を廃止するか否かの単純かつ決定的な二元論でもあり、Method A1を支持する米国、フランスなどとMethod Cを支持するロシア、英国らが当初から激し246 情報通信研究機構研究報告 Vol. 65 No. 2 (2019)7 時空標準研究室における国際標準化活動
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