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としての発動機付き発電機、原子時計や発生システム、時刻比較システム等を順次整備し、副局としての運用に必要となる技術開発を進めた(図2)。神戸副局は、小金井本局の予備局としての位置づけであることから、原子時計の数が本局と比べて少ない(表1)。セシウム原子時計については、故障等も見込んで合成原子時が安定して生成できるように6台とし、水素メーザーも発生系のシステム数に合わせた2台構成となっている。さらにこの構成を考慮し、計測システムも本局で用いているDMTDシステムは採用せず、一般的なタイムインターバルカウンター(Time Inter-val Counter:TIC)を用いたシステムとなっている。先行して整備した原子時計や発生システム等により、副局における時系の生成を開始した。図3、4に時系生成の複数のプロセスを示す。動作確認を確実に行うため、段階を踏んで時系生成試験を行った。初めに、衛星仲介で計測した時刻差を基に、神戸副局にて日本標準時を高精度にトレースできるかどうかの試験(図3A)を行い、約2nsの精度を確認した。次に、分散局での時計を組み込んだ合成原子時系が順調に生成できるかを確認するため、小金井本局を除く分散局全ての局での合成原子時系を計算し周波数安定度を比較した(図3B)。結果を図5に示す。分散局のみの時系において、短期の周波数安定度は小金井本局よりやや劣るものの、合成原子時系で重要となる長期(数日小金井本局神戸副局位置づけ・フルスペックの主局・定時、定常運用・時系発生、時刻比較、供給の基本機能を備えるが、小金井本局より簡素。本局停止時は代替主局*1に。・定時、定常運用(本局と並行運転)*1小金井本局非常時は、以下について神戸時系への切替えを行う。・機構法14条3項に基づき通報する「標準時」の基準を切替え・BIPMに対するUTC(NICT)の切替え・周波数標準局の運用に関する事項(無線局運用規則第140条)中の「通報される標準時」の切替え標準時の生成・時刻比較・自局のみで、合成原子時&UTC同期時系の生成が可能。・衛星リンクで他局の時計も組み込むことで、統合した標準時を生成可能とする予定。・同左(ただし、セシウム原子時計が少ない分、安定度は落ちる)。システム構成・セシウム原子時計18台+水素メーザー4台・計測システム:DMTD3式+TIC1式・時系発生システム:3重化・時刻比較システム:GPS3式+TWSTFT1式・遠隔監視装置 ・セシウム原子時計6台+水素メーザー2台・計測システム:TIC2式・時系発生システム:2重化・時刻比較システム:GPS1式+TWSTFT1式・遠隔監視装置 供給サービス・TEL-JJY・光TEL-JJY・専用線NTP・公開NTP・タイムビジネス(計測データ公開サーバ)・標準電波の遠隔監視・制御・周波数校正サービス・光TEL-JJY*2・公開NTP*2・タイムビジネス(計測データ公開サーバ)*3・標準電波の遠隔監視*3*2:小金井本局と並列で利用可能。*3:冗長系発電機・自家発電機(高圧1台+低圧1台)、運転継続84時間以上。・自家発電機(低圧)、運転継続約2日間。表2 小金井本局と神戸副局の構成図2 神戸副局の原子時系発生システム、計測システム、時刻比較システム253-2 日本標準時の分散化

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