程度)ではさほどの劣化はなく、分散局のみの時計でも安定に時系生成ができることを確認した。現在は、各局の合成原子時に基づいて原子時系を生成し、衛星仲介で時刻差を定常的にモニターしている(図4C)。最終的には、全ての原子時計の合成時系を共有する形態(図4D)に移行する予定である。次のステップとして、各種供給系の整備に着手した。供給系ではNTPサーバの設置や光TEL-JJYを設置し、これら供給系についても試験を進め、小金井本局と同等にサービスが可能であることを確認した。また、2局の標準電波送信所の監視システムも設置し、小金井本局から監視できない場合でも、神戸副局から標準電波の監視が安定してできるよう整備を進めた。あわせて、小金井本局が使用できなくなった場合の手順等も確認、文書化し、各職員が神戸副局への切り替えができるよう、訓練等も進めている、神戸の未来ICT研究所にて施設の工事設計を開始した2011年(平成23年)から約7年の整備期間を経て、2018年6月10日の時の記念日に神戸副局の正式運用を開始し、小金井本局での標準時生成ができない場合でも、神戸より標準時を安定供給することが可能になった。おわりにこれまで述べてきたように、標準時分散化は予備のシステムを作るという単純なものではなく、システムを分散化させることで、信頼性と精度の両方を向上させることを目的として研究開発を進めている。これまでに神戸副局等の整備を進め、信頼性向上については実現できた。しかしながら、残る精度の向上と高精度同期時系の供給については道半ばであり、今後も研究・開発を進めていく。また、次世代の標準時システムとして、光格子時計による標準時生成[9]の開発が進んだ場合、それらを標準時分散化に適応することも見据え、さらに日本標準時の精度と信頼性が向上することを目指していく。5(A) (B) 図3 小金井本局及び分散局(神戸副局)における原子時系生成のプロセス(1)26 情報通信研究機構研究報告 Vol. 65 No. 2 (2019)3 ⽇本標準時システム
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