4.1標準電波送信業務の実績標準電波の信号精度について、標準電波の送信信号は、標準電波局の運用規則[9]により、NICT本部の日本標準時に対して送信側で1×10-12より優れた周波数精度と10μ秒以内の時刻誤差であるように規定されている。送信所内で発生させる時刻はNICT本部と1ns程度の精度で比較されている。図7は2018年度における、おおたかどや山送信所の40kHzの周波数偏差と時刻精度をグラフにしたものである。1日の比較平均で1×10-13以内の周波数偏差、また時刻差としては100ns以内を維持しており、運用規則の基準を十分に満たしている。はがね山送信所においても同様に運用規則の基準を十分に満たしている。標準電波の送信時間と停波理由について、それぞれの送信所では様々な保守点検作業により、やむを得ず一時的に停波する場合がある。ここで2局体制を取ることにより、少なくとも1局からは送信できるように調整している。表2は2018年度の停波要因と時間をそれぞれの送信所について示したものである。おおたかどや山送信所では、合計84時間停波しており、そのうちの78%はホームページなどで事前に周知された機器・装置保守のための停波である。その次には落雷対策が20%となっている。停波時間を除いた2018年度の年間発射時間率は99.0%であり、近年ではおおむね98%以上の時間率を達成している。一方、はがね山送信所では合計160時間停波した。その内の58%は落雷対策のための停波である。次いで機器・装置保守の42%となった。はがね山送信所は九州北部に位置して落雷が多いため、雷害回避目的の停波が、おおたかどや山送信所に比べ長時間になっている。はがね山送信所の2018年度の発射時間率は98.2%であり、雷害回避のためにおおたかどや山送信所より時間率がやや小さい傾向があるが、同様に近年おおむね98%以上の時間率を達成している。2つの送信所の定期保守点検などの計画停波の時間は重ならないように調整されており、2019年度の1箇所以上の送信所が送信している発射時間率は99.9%に達しており、2局体制の利点が生かされている。図7 おおたかどや山送信所の周波数偏差と時刻精度(2018年度)表2 2018年度の各送信所における停波要因、時間、全停波に対する時間割合(停波時間は、時:分:秒 で表記している)おおたかどや山送信所はがね山送信所停波時間割合(%)停波時間割合(%)機器・装置保守65:44:2977.8567:30:5942.10落雷対策16:38:4119.7192:27:1557.65その他自然災害00:02:51 0.0600:02:15 0.02機器故障02:00:31 2.3800:22:21 0.23合計84:26:32160:22:50353-3 長波帯標準電波送信所の運用
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