いる。専用線NTPは、2019年6月時点で、4社6回線の利用がある。なお、専用線NTPに使用しているNTPサーバも、以下に紹介するNICT が独自開発したインターネット用時刻同期サーバを使用している。NICTでは、専用線NTPのほかに、誰でも利用可能なNTPサービス(公開NTP)を、2006年から運用しており、インターネットサービスプロバイダやデータセンタ内のコンピュータの時刻同期、個人のコンピュータの時刻同期などに利用されている。公開NTPで使用しているインターネット用時刻同期サーバ[6]はNICTが独自開発したもので、以下の特徴を有している。① 過負荷対策として、FPGAにより全てハードウェア化した高速処理② 障害対策として、ホスト名(ntp.nict.jp)による運用③ 長期運用対策として、汎用ドメイン(nict.jp)の使用④ セキュリティ対策として、時刻配信機能と制御・管理機能を分離また、送信する時刻の精度は4nsであり、処理能力は毎秒100万リクエスト以上の性能を持っている[7]。現在、NICT本部にA系、B系の2つのサーバが設置されており、それぞれ別のネットワーク回線を経由して外部ネットワークに接続する冗長構成で運用されている。各サーバへのアクセスは、上記②のホスト名ntp.nict.jpを利用することにより、2台のNTPサーバへのアクセスをアドレスごとに順番に割り当てるラウンドロビンDNSを使用して、負荷分散及び障害対策を行っている。2018年6月に当機構の未来ICT研究所(兵庫県神戸市)に日本標準時の副局を開局した際に、本部からのNTPサービスが遮断された場合でもNTPサービスを継続可能にするため、2台のNTPサーバと民間事業者の回線を使用するシステムを設置した。現在は、正式サービス開始に向けた準備作業を行っている。なお、2010年2月から、東京・大手町の日本インターネットエクスチェンジ(株)(JPIX)内にNTPサーバを置いて運用していたが、停電の際に不具合が生じたことから、大手町JPIX内からの運用は2011年1月に停止し、装置も撤去している。2.2アクセス数の増加(公開NTP)図1は、公開NTPへのアクセス数(A系、B系の合計)の推移である。2016年12月からのもので、2018年7月までは緩やかな減少傾向にあったものが、2018年7月中旬から急激に増加し、9月中旬から更に急増化し、2019年6月時点では1日に70億程度のアクセス数となっている。この急増により、NICTのネットワーク回線が圧迫され、他の業務用の通信に影響が出始めており、何らかの対策が必要になってきている。対策の1つは、副局の正式運用の開始であるが、現在は機器の性能確認と異常発生時の対応に関する検討を行っており、対策が完了次第正式運用を開始する予定である。なお、いったん開始すると終了することは難しく、民間事業者の回線を利用していることからも、十分な検討をしてから行うべきだと考えている。他の方法として、再度大手町のJPIX内にNTPサーバを置くことの検討を行っており、以前発生したものと同様な不具合が起きた場合は、すぐに回線を遮断できるようなシステムの導入を計画している。2.3アクセスの解析(公開NTP)2018年7月からのアクセス数の急増の原因に関しては、増加した前後でのアクセスデータの解析を試み図1 公開NTPへのアクセス数の推移40 情報通信研究機構研究報告 Vol. 65 No. 2 (2019)3 ⽇本標準時システム
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