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引、知的財産保護、電子カルテ等の様々な分野で利用されるようになっている。これは、国内の証拠文書の規則が改訂され、電子文書の積極的な利用が可能になってきたことと、欧州での規則制定が影響しているものと考えられる。表2に、これまでの関連規則と欧州の規制動向を記載した。3.2NICTの対応NICTでは、「タイムビジネス信頼・安心認定制度」の認定条件であるUTC(NICT)を時刻配信事業者(TAA)に供給している。認定制度が設立された2005年2月にNICTはタイムビジネス時刻情報提供サービスを開始し、GPSタイム-UTC(NICT)の測定データをWEBで公開している。同様に、TAAはGPSタイム-UTC(TAA)を測定し、その結果と公開されているGPSタイム-UTC(NICT)のデータからUTC(TAA)を正確にUTC(NICT)に同期させ、認定条件を満足することが可能となっている。さらにTAAは認定条件を満足した正確で信頼できる時刻をタイムスタンプ事業者(TSA)に配信している。このようにして「タイムビジネス信頼・安心認定制度」のNICT-TAA-TSAのトレーサビリティが構築されている。タイムビジネス時刻情報提供サービスのシステムは、運用開始時はNICT本部のみに設置していたが、現在は、副局にも設置し、冗長化を図っている。また、TAA向けに「ポータブルクロックを用いた時刻比較サービス」及び「タイムビジネスに係る非常時支援サービス」を提供している。これらは、上記の時刻配信サービスを補完するものであり、いつでも安定してタイムビジネスサービス(タイムスタンプ)を利用できるようにするためものである。3.3標準規格化NICTでは、日本データ通信協会と共同で時刻配信事業に関する技術要件をJIS規格として制定する作業を2009年度から開始し[12]、2011年5月にJIS X 5094として制定された。JIS X 5094は、TSAに対する日本の標準時の供給階層を構築すること及び供給した時刻のトレーサビリティをTAAが保証することを目的とし、時刻配信及び時刻監査を業務とするTAAが満たさなければならない技術要件について規定している。さらに、この規格を基に国際標準化を推進し、2015年4月にISO/IEC 18014-4が制定された。ISO/IEC 表2 タイムビジネスを取り巻く関連規則と欧州の規制動向年/月 内容 2004/11 「タイムビジネスに係る指針~ネットワークの安心な利用と電子データの安全な長期保存のために~」公表(総務省) 2005/4 「e - 文書法」施行 「電子帳簿保存法」施行 2006/6 「先使用権制度の円滑な活用について(第1版)」公表(特許庁) 2008/10 「国総建第177号(建設業法等の一部を改正する法律等の施行について)」(国土交通省) 2012/10 「医療情報を受託管理する情報処理事業者向けガイドライン」(経済産業省) 2014/5 「国住指第394号(建築確認手続き等における電子申請の取扱いに浮いて)」(国土交通省) 2014/7,8 「eIDAS規則*1」制定(EU);2016/7/1施行 2015/3 「電子帳簿保存法施行規則」改正 2016/3 「電子帳簿保存法施行規則」改正 2016/5 「先使用権制度の円滑な活用について(第2版)」公表(特許庁) 2016/7 「eIDAS規則」適用開始(EU) 2017/3 「タイムスタンプ保管サービス」開始(INPIT*2) 2017/5 「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(第5版)」制定(厚生労働省) 2019/6 「デジタル時代の新たなIT政策大綱」決定(政府) 「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」閣議決定 「未来投資戦略2019」閣議決定 *1 eIDAS規則:electronic IDentification, Authentication and trust Services 規則 *2 INPIT:独立行政法人工業所有権情報・研修館 433-4 インターネット社会の標準時供給

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